赤字を出している企業でも、場合によっては融資を受けることができます。
一般的には、赤字を出している企業は融資を受けることが難しいと考えられています。しかし、一定の条件を満たせば融資を受けることができるのです。
ただし、赤字の企業は返済能力を詳細に審査されることが多いため、この記事では赤字の会社でも融資を受けるための要点や留意点について、詳しく説明します。
赤字の会社の借入は難しい?
まず赤字の会社を考えてみましょう。
赤字の会社でも融資を受けることは可能ですが、一般的には赤字決算の企業は返済能力が不安視されるため、借入が難しいと思われがちです。確かに、赤字の会社は黒字の会社と比較して、返済能力や将来の成長性に対する疑念が高まり、審査において赤字はネガティブな要素となります。
しかし、実際には赤字の企業でも返済可能なケースが存在し、多くの会社が融資を受けています。赤字の会社でも融資を受けるためには、返済能力の向上や事業再生策の実行、財務状況の明確化などを重視し、積極的に取り組むことが求められます。
銀行員の赤字に対するイメージとは?
銀行の赤字に対するイメージは、まず第一に、「赤字の会社は多いので、特別にマイナスイメージを抱いていない」ということです。赤字決算は一般的な現象であり、それ自体が融資の対象から除外される理由ではありません。
さらに、銀行は赤字であっても経営努力が感じられる会社に対しては、できる限り支援をしたいと考えています。経営者が赤字状況に対して真剣に取り組み、改善策を模索している姿勢は、融資を受けられる可能性を高めます。
ただし、経営者が赤字状況にあるにもかかわらず、原因や改善策を考えようとしないなど、意欲が感じられない場合は、融資を行わないことがあります。銀行は単に赤字であることに対して否定的な判断を下すのではなく、改善を望み、企業を立て直したいという意欲が感じられるかを重要な要素としています。
銀行に相談する際のポイント1・赤字を解消するための明確な対策案を提示する
具体的な対策案を提示し、借入申込先に理解と同意を得ることで、赤字を解消するための融資を受けられる可能性があります。将来的な黒字転換を実現するためには、事業計画や資金計画を具体的に策定することが重要です。合理的かつ実現可能な赤字解消の対策案を提案し、将来の返済に関する懸念を払拭することで、審査を通過する可能性があります。
具体的な対策案を提出することは、融資を受けるための条件を満たすだけでなく、信頼性を高め、リスクを軽減するうえでも重要です。
将来の事業計画(経営改善計画)において重要な要素は次の通りです。
・過去の失敗要因を分析し、改善点を見つける
・要因分析に基づいた解決策を提案する
・具体的な数字を使い、「何を、いつまでに、どの程度まで」行うのかを明確に記述する
・次期計画を楽観的にしすぎず、安易な黒字化やV字回復などの甘い見通しを避ける
・実現可能で持続可能な目標を設定する
銀行に相談する際のポイント2・返済の懸念を払拭する
融資の返済に対する懸念がないことを示す証拠を提供することも有効な方法です。例えば、多額の不動産などの資産を保有している場合や、保有資産の売却によって資金を調達できる見込みがある場合、または将来的な売上増加が期待される大口取引先との契約がある場合などです。これらの証明となる書類や情報を提出することで、融資を受けられる可能性が高まるかもしれません。
ただし、契約書を第三者に開示する場合には、法的な制約や秘密保持義務に関して確認する必要がありますので注意しましょう。
銀行に相談する際のポイント3・一時的な赤字の場合は具体的に説明を
現在の赤字は一時的な状況であり、近い将来において黒字化が見込まれる場合、その内容を明確に説明し、借入希望先に対して理解を得ることは非常に重要です。例えば、一時的な赤字の原因としては、台風やその他の自然災害による復旧費用の増加などが考えられます。
しかし、これらの復旧作業が完了し、通常の事業体制に戻れば、赤字は迅速に解消される可能性があります。赤字の原因が一時的であり、その原因が明確である場合、借入希望先に対してこの事情を適切に説明することで、融資を受けられる可能性が高まるかもしれません。
赤字企業が融資を受けられる可能性
一般的に赤字企業が融資を受ける可能性は、限られています。しかし、完全に不可能ではありません。金融機関は融資の際、企業の財務状況、事業計画、市場のポテンシャル、経営者の信用履歴などを総合的に評価します。赤字であっても、将来的に収益を上げる明確な計画があれば、融資の承認を得られる可能性があります。
重要なのは、赤字の原因を明確にし、それを解決するための具体的な戦略を提示することです。例えば、市場環境の変化に対応した新しい事業計画や、コスト削減と効率化を目指した経営改善計画などが考えられます。また、過去の成功事例や経営者の経験も、信用力を高める要素となり得ます。
さらに、従来の銀行融資以外の選択肢も検討することが赤字企業にとって重要です。ベンチャーキャピタル、政府の支援プログラム、クラウドファンディングなど、多様な資金調達方法が存在します。これらのオプションは、特定の条件下で追加の資金を提供する可能性があります。
融資申請の準備
融資申請の準備は、融資成功の可能性を高めるために重要です。まず、詳細かつ正確な財務報告を準備し、企業の現状と過去の業績を明確に示します。これには、損益計算書、バランスシート、キャッシュフローの状況が含まれます。次に、事業計画を策定し、将来の収益性と成長の見通しを具体的に示すことが重要です。この計画には、市場分析、競合分析、販売戦略、収益予測などが含まれるべきです。
また、信用情報を整理し、過去の借入れや返済履歴を含め、金融機関に対して透明性を持って提示することが求められます。信用情報が不十分な場合は、それを改善するための措置を講じることが望ましいです。
融資申請に際しては、金融機関の要件や条件を事前に調査し、申請書類を適切に準備することも重要です。必要に応じて、専門家のアドバイスを求めることも有効です。これにより、申請書類の精度を高め、融資の承認確率を向上させることができます。
銀行融資以外の資金調達方法
赤字が原因で銀行による融資が受けられないときは、その他の資金調達方法も検討してみてはいかがでしょうか?
最近では以下のような資金調達方法が用いられることがあります。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルは、主にスタートアップや成長期の企業に対して資本を提供する投資家や投資会社です。高いリスクを伴うものの、これらの企業は通常、大きな成長ポテンシャルを持っています。
ベンチャーキャピタルは、資金提供の見返りとして企業の株式の一部を取得し、企業の成長とともにその価値を増大させることを目指します。彼らは単に資金を提供するだけでなく、経営の専門知識やネットワークを提供することで、企業の成功をサポートします。
ベンチャーキャピタルからの資金調達は、企業にとって重要な成長の機会を提供する一方で、株式の一部を譲渡することによる経営上の影響を考慮する必要があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の人々から資金を集める方法です。起業家やクリエイターがプロジェクトやアイデアを公開し、一般の人々から資金を募ります。支援者は、プロジェクトへの寄付、あるいは製品やサービスの先行購入などの形で資金を提供します。
新しい製品の開発、芸術作品の制作、社会貢献活動など、多岐にわたるプロジェクトに利用されています。利点は、資金調達と同時に市場の反応をテストし、コミュニティを構築できる点にあります。しかし、成功するためには魅力的なプロジェクトの提示と効果的なプロモーションが必要です。
政府の助成金や補助金
政府の助成金や補助金は、特定の条件を満たす企業やプロジェクトに対して、政府や公的機関から提供される資金です。これらは通常、社会的、経済的、技術的な目標を達成するために設けられ、研究開発、環境保護、地域振興、雇用創出などの分野で利用されます。
助成金や補助金の最大の利点は、返済の必要がないことです。しかし、これらの資金を受け取るためには、詳細な申請書の提出とプロジェクトの計画が必要であり、しばしば厳格な条件や報告義務が伴います。
事業者向けクレジットカード
事業者向けクレジットカードは、企業の日々の運営資金の管理や短期的な資金調達に利用されるツールです。これらのカードは、企業の購入や経費の支払いに使用でき、後日一括または分割での返済が可能です。
事業者向けクレジットカードの利点には、キャッシュフロー管理の柔軟性、会計処理の簡素化、支出の追跡と分析の容易さがあります。また、多くのカードにはリワードやキャッシュバック、旅行保険などの追加の利点が付帯しています。
しかし、利用には利息や手数料がかかる場合があるため、財務管理には注意が必要です。適切に使用すれば、事業者向けクレジットカードは企業の資金管理と効率化に大きく貢献します。
リース・ファクタリング
リースは、必要な機器や設備を購入する代わりに、一定期間賃借する方法です。これにより、大きな初期投資を避け、資金の流動性を維持できます。
ファクタリングは、企業が未回収の売掛金を金融機関に売却し、すぐに現金を得る方法です。これにより、売掛金の回収期間を待たずに現金を確保し、運転資金の短期的なニーズに対応できます。
さいごに
銀行は赤字決算に対して特別なマイナスイメージはなく、赤字だからといって融資を拒否するわけではありません。赤字の原因や改善策を考え、将来の黒字化の見込みを明確にすることで、融資を受けられる可能性が高まります。
また、返済に懸念がないことを証明するためには、保有資産や将来の売上増加の見込みなどの具体的な証拠を提出することが有効です。
ただし、経営者の意欲や改善への取り組みが感じられない場合は、融資を受けることが難しくなりますので、しっかりと準備をして相談に臨みましょう。
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