融資を受けることは、多くの企業にとって成長や持続性のために不可欠な要素です。しかし、時には銀行や金融機関からの融資が受けられないという壁に直面することがあります。
では、融資が受けられない時にどのような解決策があるのでしょうか?
本記事では、融資否決時の対処法と資金調達の新たな道について探っていきましょう。
融資が断られる理由
もし銀行融資の審査が否決された場合、資金の使用目的や信用情報などの要素が一般的に理由として挙げられます。
以下は銀行融資の審査が否決される理由として考えられるいくつかの要素です。
- 資金の用途や必要な金額の根拠がない
- 返済原資に問題はないか?
- 信用情報に問題がある
- 決算が赤字である
- 申請書類の不備・不足
- 金融機関の貸出基準の厳格化
これらの理由を事前に知っておくことは、次回の融資申請の準備に役立ちます。1つずつ、詳しく解説していきましょう。
資金の用途や必要な金額の根拠がない
資金使途や必要金額の根拠が不明確な場合、銀行融資の審査に通らない可能性があります。銀行は通常、特定の目的に向けた資金提供を行っており、その目的から逸脱した使途は認められません。したがって、融資申請時には資金使途や必要金額の根拠を明確に示す必要があります。
たとえば、事業計画において過大な広告宣伝費用や人件費を見積もっていた場合、その費用がなぜ必要であるのか、具体的な根拠を示すことが求められます。銀行はリスクを最小限に抑えるために、融資の目的性や妥当性を慎重に審査するためです。
また、設備資金を必要とする場合にも同様の要件があります。融資を受けるためには、設備資金の具体的な内訳や使途を明確にすることが求められます。新しい店舗を借りるために必要な費用を融資してもらう場合、店舗取得費用の内訳が明確にわかる見積書を提出する必要があります。
もし融資申請が否決された後、再度融資を受けるために設備資金が必要な場合は、内訳が明記された見積書を作成しましょう。これにより、融資審査において根拠が明確になり、融資の成功率を高めることができます。
返済原資に問題はないか?
「返済原資」とは、融資を受けた資金を返済するために使用する資金のことを指します。融資を受ける際には、将来的にその資金を返済する必要があります。
ですが、決算書から返済原資を特定できない場合、銀行融資の審査に通過することは難しい傾向があります。銀行は、融資を受けた借り手が返済能力を有しているかどうかを判断するために、返済原資の存在を確認する必要があります。具体的には、次の計算式を用いて返済原資の概算を算出することができます。
【返済原資の計算式】
当期純利益 + 減価償却費 = 返済原資
当期純利益と減価償却費は、銀行に提出する決算書の「損益計算書」から確認することができます。また、返済原資を確認するためには、時折「資金繰り表」の提出も求められることがあります。
資金繰り表は将来の収入と支出を示すものであり、借入金を返済する余裕があるかどうかを確認するための手段です。もし銀行融資の審査が否決された場合は、最新の決算書を参照して返済原資の有無を確認してみることをおすすめします。それにより、借り手が返済能力を持っていることを銀行に示すことができます。
信用情報に問題がある
信用情報に債務不履行や遅延支払い、債務整理、個人再生、自己破産などの記録がある場合、銀行は借り手の信用度が低いと判断します。このような信用度の低下は、返済能力や信頼性に欠けると見なされ、融資申請を却下される可能性が高くなります。
また、信用情報には借入金やクレジットカードの利用状況も含まれます。負債比率が高く、借り手の返済能力に懸念がある場合、銀行はリスクを避けるために融資を断ることがあります。
さらに、信用情報に過去の借入や返済履歴が含まれます。もし過去に滞納や延滞がある場合、銀行は再び同様の問題が起きる可能性を懸念し、融資を拒否することがあります。
また、信用情報には複数の借入先の情報も記載されています。銀行は借り手の負債状況や返済能力を総合的に判断しますので、もし複数の借入先による負担が大きく、返済リスクが高いと見なされる場合、融資の申請が却下されることがあります。
決算が赤字である
決算が赤字の場合、銀行融資の審査に通りにくい傾向があります。赤字とは、収入が支出を上回らず、損失が発生していることを意味します。このような状況では、銀行は与信面での懸念があると判断する可能性があります。
具体的には、融資審査では通常、銀行は決算書の提出を要求します。その中で特に注目されるのは損益計算書に記載されている「経常利益」です。経常利益が黒字であれば、利息の支払いにも余裕があり、利益が残ることになります。そのため、融資先としてのリスクが低いと判断される可能性が高まります。
ただし、もし赤字の原因がコロナ禍などの社会的要因や災害などに起因する場合、一時的な赤字であることやその背景を銀行に説明できれば、融資を受けられる可能性もあります。重要なのは、赤字が一時的なものであり、将来的に収益が回復する見込みがあることを説明することです。また、セーフティネットなども活用することを視野に入れましょう。
申請書類の不備・不足
融資申請が断られた後、再申請を検討する際には、申請書類の準備とそのプロセスに特に注意を払う必要があります。まず、前回の申請で不備や不足が指摘された書類があれば、それらを正確に準備し、必要な情報を完全に提供することが重要です。申請書類には、個人情報、収入証明、雇用証明、財務状況の詳細など、金融機関が求める全ての情報を含める必要があります。
書類を準備する際には、最新の情報を提供することが重要です。例えば、収入が増加した場合や新たに雇用された場合は、それを証明する書類を提出します。また、信用情報に関する問題があった場合は、その改善を示す証拠も同様に重要です。
再申請の際には、前回の申請で指摘された問題点を明確に理解し、それを改善するための具体的な措置を講じることが求められます。このプロセスを通じて、金融機関に対して、前回の申請時よりも改善された財務状況や信用状況を示すことができます。
さらに、異なる金融機関に申請を検討する場合は、各機関の貸出基準や特徴を事前に調査し、自身の状況に最も適した機関を選択することが重要です。異なる金融機関は異なる基準を持っているため、前回の申請で断られたからといって、他の機関でも同様に断られるとは限りません。
最後に、申請書類の準備と再申請のプロセスでは、明確かつ正確なコミュニケーションを心がけることが不可欠です。必要に応じて金融機関の担当者と直接話し合い、疑問点を解消し、申請の成功率を高めるためのアドバイスを求めましょう。
金融機関の貸出基準の厳格化
融資を断られた後、再申請を考える際には、融資条件の見直しと適切な金融機関の選択が非常に重要になります。まず、自身が申し込んだ融資の条件(金利、返済期間、融資額など)を再評価し、自分の返済能力や資金需要に本当に適しているかを検討する必要があります。場合によっては、より低い金額の融資を申し込む、返済期間を延長して月々の返済額を減らすなどの調整が有効です。
次に、適切な金融機関の選択には、各機関の貸出基準、専門性、提供する融資商品の種類を理解することが必要です。例えば、中小企業向けの融資を得意とする金融機関、スタートアップ企業や特定業種に特化した融資サービスを提供する金融機関など、自身の状況やニーズに最も合致する機関を選ぶことが成功の鍵を握ります。
また、金融機関選びでは、その機関の評判や過去の顧客の経験談も重要な判断材料となります。オンラインのレビューや評価、口コミを参考にすることで、実際の顧客サービスの質や融資プロセスのスムーズさをある程度把握することができます。
さらに、融資を断られた原因が自身の信用情報に関連する場合は、信用情報の改善に努めると同時に、信用情報の影響を受けにくい金融機関を選ぶことも一つの戦略です。例えば、信用組合や地域密着型の小規模な金融機関は、大手銀行に比べて個人の状況をより総合的に評価する傾向があります。
最終的には、融資条件の見直しと適切な金融機関の選択を通じて、自身のニーズに合った最適な融資解決策を見つけることが、融資申請の成功につながります。
融資に落ちた時、次にするべきこととは?
原因を特定する
落ちた理由を明確に把握しましょう。審査に通らなかった要素や問題点を特定することで、次回の申請に向けた改善策を見つけることができます。
改善策を検討する
落ちた要素に対して改善策を考えましょう。例えば、資金使途や必要金額の根拠が不明確な場合は、より具体的な計画や財務情報を準備する必要があります。信用情報に問題がある場合は、信用スコアを向上させるための対策を検討します。
融資を希望する銀行との面談を行う
落ちた銀行以外にも、別の銀行や金融機関に相談しましょう。面談の際には、落ちた経緯や改善策を説明し、信頼性や返済能力をアピールすることが重要です。
必要な資料を準備する
新たな融資申請を行う場合、必要な資料を整理し準備しましょう。これには財務諸表(決算書や損益計算書)、ビジネスプラン、将来の収支予測などが含まれます。過去の問題点に対する改善策や具体的な事業計画を示すことが求められることもあります。
アドバイザーや専門家のサポートを受ける
必要に応じて、金融アドバイザーや専門家のサポートを受けることも考慮しましょう。彼らは融資申請のプロセスに精通しており、アドバイスや戦略を提供してくれます。
財務状況の見直し
財務状況の見直しは、融資を受けるための重要なステップです。まず、月々の収入と支出を詳細にリストアップし、不要な支出を削減します。次に、返済能力を高めるために収入を増やす方法を検討し、副業や資格取得などを通じて収入源を増やすことも考えましょう。
また、貯蓄を増やし、緊急時の資金を確保することも大切です。これらの措置により、金融機関からの信頼を得やすくなり、融資の承認率を高めることができます。財務状況を改善することは、即効性があるわけではありませんが、長期的に見て経済的な安定につながります。
融資条件の再検討
申し込んだ融資の金額、返済期間、金利などの条件が自身の返済能力に見合っているかを再評価しましょう。必要な資金額を最小限に抑える、返済期間を延長して月々の返済額を減らす、またはより低い金利を提供する金融機関を探すなど、現実的な選択肢を検討することが重要です。これにより、再申請時の承認率を高めることができ、経済的な負担も軽減されます。
再申請のタイミング
再申請のタイミングは慎重に選ぶ必要があります。融資を断られた原因が改善された明確な証拠がある場合に限り、再申請を検討してください。例えば、信用情報に誤りがあった場合はその訂正、収入が増えた場合はその証明、財務状況が改善された場合はその記録を準備します。
通常、これらの改善には数ヶ月から1年程度かかることが多いため、急いで再申請するよりも、状況が明らかに改善されたことを示せるまで待つことが賢明です。適切な準備とタイミングで再申請することで、成功の可能性を高めることができます。
融資を断られた時に確認するべきポイントのまとめ
事業を営むには、多額の資金が必要となりますが、全てを自前で用意することは困難です。そのため、必要となる資金の多くは、融資により調達することになりますが、融資申請は、必ず通るわけではありません。否決されてしまった場合には、自身の返済能力や、信用情報などを見返してみましょう。否決された原因を確認することで、次の融資申請に繋げることも可能となります。必要となる改善策を講じて、融資を成功へ導いてください。
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