事業計画

融資の流れと必要書類について

事業計画

融資を受けることは、新たな事業の立ち上げや既存事業の拡大にとって重要な一歩です。しかし、銀行や金融機関から資金を得るためには、審査を通過する必要があります。

この記事では、融資を受けるための流れや必要な書類について詳しく解説します。

銀行融資とは

銀行融資は、個人や企業が特定の目的のために銀行から資金を借りるプロセスです。このプロセスには、銀行がお金を貸し出すこと、借り手がそのお金を特定の条件(金利、返済期間、その他の諸条件)で返済することが含まれます。

銀行融資の特徴と種類

特徴

低金利の利点

   銀行融資の一番の魅力は、他の資金調達方法に比べて低い金利で借入が可能である点です。通常、金利は1.00~4.00%の範囲で設定されており、これにより返済負担が軽減されます。ただし、金利は借り手の信用力や選んだ銀行、融資の種類によって変動します。

大規模な融資枠

   銀行融資は、他の資金調達手段と比べて大きな融資枠(限度額)が設定されている点も特徴です。信用力のある企業や個人は、1,000万円以上の大規模な融資を受けることが可能です。高価な担保を提供することで、数十億円規模の融資を受けることもあります。

審査期間の長さ

   銀行融資の審査プロセスは、信用調査や書類の確認などを含め、時間がかかることがあります。特に大規模な融資や複雑なケースでは、審査に1ヶ月以上かかることも珍しくありません。ただし、同じ銀行での繰り返しの融資では、審査期間が短縮されることがあります。

保証や担保の要求

   銀行融資では、借入時に担保や保証人の提供を求められることが一般的です。これは、借り手が返済不能になった場合に資金回収を確実にするためです。個人事業主の場合、保証協会を通じた融資が一般的で、有価証券や不動産などの担保の準備が難しい場合もあります。

これらの特徴は、銀行融資を検討する際に考慮すべき重要な要素です。低金利で大規模な資金を調達できる一方で、審査の厳しさや保証・担保の要求などに注意が必要です。

種類

信用保証協会付き融資

  • 定義: 中小企業や小規模事業者のための公的機関である信用保証協会が、銀行融資に連帯保証を提供する制度。
  • メリット: 銀行の審査を通りやすくし、返済不能時には信用保証協会が代位弁済を行う。
  • 金利と条件: 一般的に低金利。無担保の場合の上限は8,000万円、担保付きでは2億8,000万円。

プロパー融資

  • 定義: 事業主が銀行から直接、信用保証協会の保証なしで融資を受ける方式。
  • メリット: 低金利で無制限の利用可能枠。
  • 審査の厳しさ: 高い信用力が求められ、新規事業や信用力の低い事業者には不向き。

ビジネスローン

  • 定義: 事業資金専用のローンで、銀行だけでなくクレジット会社や消費者金融でも提供。
  • 特徴: 様々な事業資金用途に利用可能。無担保・無保証人での申し込みが一般的。
  • スピードと条件: 審査が比較的迅速。利用可能枠や金利は各社で異なる。

カードローン

  • 定義: 個人向けの融資サービスで、一般的には事業資金として使用されないことが多い。
  • 特徴: 金融機関によって金利や利用可能枠が異なる。申し込み前に事業資金としての使用可能性を確認する必要がある。

これらの融資形態は、事業主のニーズや信用状況に応じて異なります。信用保証協会付き融資は安定した支援を提供する一方で、プロパー融資やビジネスローンは柔軟性があり、迅速な審査を求める場合に適しています。カードローンは個人の緊急資金需要に対応しますが、事業資金としての使用は限定的です。

銀行融資とビジネスローンの違いとは

融資金額の違い

銀行融資は融資金額が大きく、通常は最高1億円程度までの融資が可能です。これに対して多くのビジネスローンは、500万円や1,000万円といった比較的小規模な融資に限定されています。大規模な資金調達を計画している場合、銀行融資が適している可能性が高いです。

金利の差

一般に、銀行融資の方が金利が低く設定されています。これに対しビジネスローンでは、少額の借入の場合、特に高金利になる傾向があります。低い金利での資金調達を求める場合、銀行融資が適した選択肢となります。

審査速度

ビジネスローンの中でも、特に消費者金融系のビジネスローンは、審査の速度が圧倒的に速いです。これらのローンは申込者の情報をスコアリングシステムで評価し、迅速に審査結果を出します。条件を満たしていれば、最短即日での融資が可能な場合もあります。緊急の資金需要には、消費者金融系のビジネスローンが適しています。

これらの特徴を踏まえ、融資金額、金利、審査の速度などの観点から、事業のニーズに最適な融資オプションを選ぶことが重要です。大規模な資金が必要で低金利を希望する場合は銀行融資が、小規模な資金で迅速な審査を求める場合はビジネスローンが適していると言えます。

一般的な融資の流れは?

申請

融資を受ける手続きの最初のステップは、相談と申請です。

関係のある銀行の担当者へ融資に関して相談し、申請を行います。特に融資の経験がない場合、申請金額の他に、返済計画や借入期間などを確認しましょう。

また、連帯保証人や担保の有無についても話し合うとスムーズです。

必要書類の準備

次に、融資を受けるためには、金融機関が指定する書類を提出する必要があります。

各種の申請書類は、金融機関が定めたものを使用します。

さらに、融資の用途や担保、連帯保証人の有無によって必要な書類が異なるため、よく確認して準備してください。

面談と審査

書類が準備できたら面談となります。

融資のための面談では、提出した書類を基に質問などが行われます。

面談は銀行に出向く場合もありますが、事業の内容や設備の状況を確認するために店舗やオフィス、工場を訪問することもあります。

金利が低い銀行の融資は審査が厳しい傾向がありますし、審査には時間がかかる場合もあります。

融資の条件によって審査期間は異なりますが、短い場合でも2週間、長い場合には1カ月半ほどの時間がかかることもあります。

申し込み後すぐに融資を受けられるわけではないため、資金が必要なタイミングに合わせて早めに準備を進めることが重要です。

融資の実施

審査を通過し、融資が承認されると、実際に契約の段階に進みます。融資金が入金されたことを確認してください。

必要な書類

銀行からの融資を受ける際に必要な準備物は、一般的に以下のようなものがあります。

ただし、銀行や融資の種類によって異なる場合がありますので、具体的な要件は銀行に直接確認することが重要です。

財務諸表

財務諸表は、通常は決算書と呼ばれ、企業や事業の一定期間の財政状態や経営成績を示す書類です。

財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などが含まれます。

銀行融資の場合、貸借対照表と損益計算書の提出が必要です。個人事業主の場合は、確定申告書の提出でも要件を満たすことができます。

試算表

試算表は、事業の資産や負債、売上・利益などをまとめた集計表であり、月次で作成されます。

一方、決算書は年に一度の作成となるため、銀行は最新の財務状況を把握するために試算表を参考にします。

もし決算書の作成から3ヶ月以上経過している場合、銀行は試算表の提出を要求することがあります。

資金繰り表

資金繰り表は、一定期間内の収入と支出を集計したもので、現金の受け渡しの流れを把握するために使用されます。

日々資金繰り表を作成し、現金の受け渡しの流れを追跡することで、いつ資金不足になる可能性があるかや、その兆候を予測することができます。

将来の資金不足を防ぐために、事前に対策を講じることができます。

銀行は、融資した資金が適切に返済されるかどうかを判断するために、資金繰り表を参考にしますので、事業主の財務状況や現金管理能力を評価する重要な指標となります。

事業計画書

事業計画書は、企業のビジョンや事業内容、戦略などをまとめた書類であり、将来の成長戦略や経営計画を明示します。

銀行は、事業計画書を通じて事業の成長性や融資の返済能力を評価します。

そのため、市場動向や企業の競争力、売上・利益の見込みなどを客観的なデータや具体的な数字を用いて詳細に説明することが重要です。

銀行取引一覧表

銀行取引一覧表は、銀行口座の取引履歴をまとめた表のことです。

この一覧表には、口座への入金や出金、振込、小切手の発行や受取、利息の入出など、銀行口座に関する全ての取引が記録されます。

銀行は、リスクを最小限に抑えるために、融資を受ける際に借入額を確かめます。

納税証明書

納税証明書は、個人や法人が税金を適切に納めていることを証明する公的な書類です。

税務署や税務機関が発行し、納税者が所得税、消費税、法人税などの税金を納付したことを証明します。税務署や税務機関に申請することで入手が可能です。

これらは一般的な準備物ですが、銀行や融資の種類によって要件は異なる場合があります。

銀行によっては追加の書類や情報を要求することもありますので、具体的な要件については銀行に直接相談することをおすすめします。

銀行融資を受けるときの注意点

1. 事業計画の提出: 融資審査では、財務諸表と事業計画書の提出が必要です。事業計画書では、融資資金の使用目的と返済計画を明確に示すことが求められます。

2. 返済能力の証明: 審査では、融資後の返済能力が重要視されます。事業計画には返済能力を強調する内容が必要です。

3. 財務健全性のアピール: 財務の健全性、特に自己資本比率が重要です。これは、総資産に対する自己資本の割合を示し、10%~40%が一般的に健全とされます。財務の健全性を高めるためには、資本を増やしたり負債を減らしたりする対策が効果的です。

4. 事業の成長性の強調: 融資審査では、事業の将来性や成長性が評価されます。市場の成長性や競合に対する自社の強みなどを強調して、利益創出の可能性を示します。

5. 金利の理解: 融資の金利が事業のコストとなるため、金利条件を理解しておくことが重要です。低金利の銀行融資を選択することで、返済負担を軽減できます。

6. 返済計画の検討: 返済期日に注意し、事業のキャッシュフローに合わせた実現可能な返済計画を立てます。繰り上げ返済が可能な場合、早期返済によって利息負担を減らすこともできますが、現実的な返済スケジュールを設定することが大切です。

書類の提出の遅れや不備がある場合のデメリット

期限内の書類提出

銀行融資の手続きにおいては、提出すべき書類に定められた期限があります。期限を守らずに提出が遅れると、手続きが遅れるだけでなく、銀行側に無用な手間をかけることになり、信用を損なう原因になります。

書類の不備が手続きの遅延を招く

提出書類に不備があると、再提出を求められ、結果的に融資の手続きが遅れます。融資は、すべての書類が揃わないと進まないため、「一部の書類が欠けていても進行する」という考えは誤りです。

融資手続きの複雑さ

大規模な融資や複雑な案件は、支店だけでなく本店の審査部や役員の承認が必要です。一度手続きのタイミングを逃すと、次のチャンスまでに1~2週間かかることもあります。また、信用保証協会付き融資では、保証協会の承認も必要で、さらに時間がかかる可能性があります。

経営能力への疑問

書類提出ができない、または適切に書類を作成できない場合、銀行は経営者の能力に疑問を持つことがあります。特に経営改善計画書などは経営者自身が作成する必要があり、提出できない場合、経営判断能力の不足を示すと捉えられることもあります。

銀行融資の書類を揃えるのが難しい場合

銀行融資の書類準備に困難を感じる場合、他の資金調達方法を探ることが有効です。銀行融資は多くの書類や詳細な準備が必要ですが、他の融資方法では比較的簡単に手続きが進められることもあります。特に、緊急に資金が必要な場合や短期的な資金繰りの問題に直面しているときは、代替の融資ルートを検討するのが良いでしょう。

さいごに

銀行は貸借対照表や損益計算書などの財務情報や事業計画書、保証人情報などを総合的に評価し、借り手の信用状況や融資のリスクを判断します。

審査期間は銀行や融資の種類によって異なりますので、具体的な期間は個別の状況や銀行の方針によって変動します。

融資を検討する場合は、事前に銀行との相談や必要な手続きを行うことが重要ですので、しっかりと準備して審査に備えましょう。

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