中小企業の経営環境は常に変化し、予測困難な課題に直面することがあります。そんな中で、セーフティネット制度が重要な役割を果たしています。本記事では、セーフティネット制度の詳細やその利点・注意点について解説します。是非ご参考にしてください。
セーフティネットとは
セーフティーネット制度には、セーフティーネット貸付とセーフティーネット保証の2つの種類があります。
<セーフティーネット貸付>
「経営環境変化対応資金」としても知られるセーフティネット貸付は、中小企業の経営基盤を強化することを目的とした制度で、一時的に売り上げが低下しているが、中期的に回復し発展する見込みがある企業に対して提供されます。この制度は、日本政策金融公庫から直接融資を受けることができるもので、中小企業に資金を貸し付ける手助けをするものではありません。
<セーフティーネット保証>
中小企業信用保険法で規定された要因によって、経営の安定に支障が生じている中小企業者に対して、信用保証協会を通じて提供されるのがセーフティネット保証制度です。この制度は、保証限度額の別枠化によって、資金調達を円滑化することを目的としています。ただし、セーフティーネット保証は全ての企業が利用できるわけではなく、市区町村の認定を受けた中小企業に限定されています。
各要因は、1号から8号まで分類されており、掛け持ちや複数回の適応はできません。また、各分類には対象となる中小企業者の要件が規定されています。
1号:連鎖倒産防止
2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号:突発的災害(事故等)
4号:突発的災害(自然災害等)
5号:業況の悪化している業種(全国的)
6号:取引金融機関の破綻
7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡
セーフティーネット保証を利用するメリット
・融資を受けやすくなる
中小企業の中には、資金力に乏しい企業や設立したばかりで融資履歴や返済履歴のない企業が存在します。このような企業に対しては、金融機関は融資に消極的で、返済能力が不明瞭であるため、リスクが高いと判断されます。 そこで、信用保証協会が保証するセーフティーネット保証を利用することで、このような企業でも金融機関から融資を受けやすくなります。セーフティーネット保証では、融資額の80%から100%を信用保証協会が保証するため、金融機関も安心して融資することができます。
・信用保証協会が融資の返済を一括して代行してくれること
もし融資の返済が困難になった場合でも、信用保証協会が融資返済を行ってくれます。ただし、返済義務がなくなるわけではないので、注意が必要です。また、信用保証協会に返済する際の金利は銀行よりも低くなることが多いです。
・一括返済とは別に融資を増やせること
セーフティネット保証制度を利用すると、現在の融資とは別に、新たに融資を受けることができます。これにより、事業継続のために必要な資金を調達することができます。ただし、融資を増やす場合は、返済能力などの審査があるため、注意が必要です。
・長期借入に対応している
すべての種類のセーフティーネット保証が長期借入に対応しているわけではありませんが、運転資金については最長5年、設備資金については最長7年の保証が受けられる場合があります。中小企業が事業を立て直すために必要な長期資金を調達するためには、セーフティーネット保証の融資を利用することが有効な手段となるでしょう。
セーフティーネット保証を利用するデメリット
セーフティーネット保証を利用する場合、デメリットとして次の点が挙げられます。
1つ目は、融資を受けた企業が支払う信用保証料がかかることです。これは融資額の約1%以内であり、融資を受ける企業にとっては追加のコストとなります。
2つ目は、代位弁済が行われると、融資を受けた企業の銀行口座が一時的にロックされてしまうことです。しかし、セーフティーネット保証を利用することで、融資を受けられる可能性が高くなるというメリットもあるため、デメリットとメリットを比較して判断する必要があります。
利用について
1号から8号までの経営安定関連保証には、それぞれ利用条件が設定されており、自社がこれらの条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。自社が利用条件を確認できない場合は、所在地の市区町村役場の関連部署に相談することもできます。 セーフティーネット保証を利用するには、必要な書類を用意する必要があります。必要書類はいくつかあり、不備のないように注意が必要です。
法人の場合、以下の書類が必要です。 ただし、自治体によって必要となる書類が異なる場合もあるため、詳しくは自治体窓口にてご確認ください。
・認定申請書
・売上高および売上見込みの資料
・決算報告書のコピー
・月次試算表、損益推移表、売上台帳など
・3ヶ月以内に取得した履歴事項全部証明書
一方、個人事業主の場合、以下の書類が必要です。
・認定申請書
・売上高および売上見込みの資料
・直近の確定申告書のコピー
また、本人以外が申請する場合は、委任状が必要になることもあります。自治体によって必要書類の部数が異なるため、事前に確認することがおすすめです。
流れとしては、事業所のある役所の担当部署を訪れます。窓口の名前は自治体によって異なりますが、「商工担当課」などの窓口で認定申請書を提出し、セーフティネット保証の認定を受けます。申請方法の詳細は、各市区町村のホームページなどで確認しましょう。
認定書を取得できたら、それを持参して保証協会の窓口を訪れ、セーフティネット保証の手続きを行います。認定書の有効期限は30日までなので、期限内に手続きを完了する必要があります。 融資には審査が必要で、審査期間はおおよそ2カ月程度ですが、混み具合によって異なる場合があります。また、審査結果次第では保証を受けられないこともあります。 審査に合格すれば、融資が実行されます。
以上が手続きの全体的な流れです。
さいごに
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