事業計画

クリニックを始める方のために必要な資金は?

事業計画

クリニックを開業する方にとって、資金の確保は重要な課題です。この記事では、クリニックの開業に必要な資金について詳しく説明します。

クリニックを開業する方法と流れ

まずはクリニックを開業するときの全体の流れをみていきましょう。

クリニックを開業するには、まず保健所や厚生局などに届出や申請を行う必要があります。これには、適切な資格を持つ医師であること、必要な設備とスタッフを確保することが求められます。

続いて、開業場所を選定します。この際、患者のニーズとアクセスの良さを考慮することが重要です。

その後、医療機器の購入やクリニックの内装、必要なシステムの導入を行い、医療保険の取り扱いに関する手続きを進める、といった流れになります。

最後に、地域の医師会への登録と、開業の告知を行い、患者の受け入れ準備を整えます。

なぜクリニックの開業には資金が必要か?

クリニックを開業するには多くの初期投資や継続的な経費が発生します。以下はクリニック開業に関連する主な費用の一部です。

物件の購入やリース:クリニックの場所になる物件を購入またはリースするための費用が必要です。

内装や改築:患者を迎えるための快適な待合室や診察室を整えるために、内装や改築が必要な場合があります。

医療機器の購入:検査や治療に使用する医療機器やツールを揃えるための費用が発生します。

人件費:スタッフや医師の給与、福利厚生費用などの人件費が発生します。

コンピューターシステム:患者の情報を管理するための電子カルテシステムや予約管理システムの導入費用が必要です。

保険:医療過誤などのリスクをカバーするための保険料が必要です。

広告やマーケティング:新規の患者を獲得するために、広告やマーケティング活動のための費用が発生します。

継続的な経費:電気、水道、ガスなどのユーティリティコスト、日常の消耗品や医薬品の購入など、毎月継続的に発生する経費があります。

研修や継続教育:医師やスタッフのスキルアップや知識の更新のための研修や継続教育のための費用も考慮する必要があります。

これらの要因を考慮すると、クリニックを開業するためにはかなりの資金が必要となります。したがって、計画的に資金を集める必要があり、そのための事前の計画や資金調達の方法を検討する必要があります。

クリニックを開業するには、どのくらいの金額がかかる?

クリニックの開業には、最低でも1000万円の自己資金が求められます。

融資のオプションも考慮できますが、持っている自己資金が多ければ多いほど良いでしょう。

所在地や地域によって、開業に必要な金額は変動しますが、どのような開業状況であっても、安心のためには1000万円以上の資金を確保しておくことをおすすめします。

(例)内科の開業:

  • リースの初期費用: 1000万円 – 5000万円
  • 内装や改築費用: 500万円 – 2000万円
  • 診察室の医療機器: 100万円 – 500万円
  • 検査機器: 500万円 – 5000万円
  • 医薬品、ワクチン、消耗品: 100万円 – 500万円
  • 電子カルテシステム: 300万円 – 1000万円
  • 予約・会計システム: 50万円 – 300万円
  • IT設備: 100万円 – 500万円
  • ライセンス・許可関連費用: 10万円 – 50万円
  • スタッフの初月給与: 300万円 – 1000万円(スタッフ数や給与水準による)
  • 広告・宣伝費用: 100万円 – 500万円
  • 保険費用: 100万円 – 300万円/年
  • その他の経費: 100万円 – 500万円

合計でざっくりとした目安としては、リースを選択し、中規模の機器や設備を選ぶ場合、5,000万円から1億円程度の初期投資が必要となる場合が多いです。

自己資金が少ない場合の対策

まずは低コストでの開業を検討しましょう。小規模なクリニックから始め、必要最小限の医療機器とスタッフで運営する、という方法です。また、医療機器のリースや中古品の利用もコスト削減につながります。その後、経営状況に合わせて拡大することも可能です。

融資を受ける場合は、医療業界特有の支援制度を活用することが重要です。地域の医師会や専門のコンサルタントに相談することで、資金調達のアドバイスや支援を受けることもできます。

診療科目別の開業資金と自己資金の目安

一般的に、内科や小児科などの基本的な診療科目は、比較的少ない開業資金で始められることが多いです。一方、外科や眼科など専門的な診療科目では、高額な医療機器や専門スタッフが必要となるため、開業資金が高くなりがちです。

自己資金の目安としては、全体の開業資金の20%から30%が望ましいとされています。ただし立地条件やクリニックの規模、設備の充実度によって変動することに注意しましょう。また、自己資金が少ない場合は、金融機関や政府の支援制度を活用することで、必要な資金を補うことができます。

開業時に使える助成金・補助金

クリニックを開業する際、日本ではいくつかの助成金や補助金の制度が存在しています。これらの制度は、医療の地域格差の解消や、特定の医療分野への人材確保を目的として設けられています。以下に主なものを挙げますが、これらの制度は政策の変動や地域、時期によって詳細や提供内容が変わることがあるため、具体的に開業を計画する際は最新の情報を確認してください。

地域医療再生基金

地域医療の確保を目的とした事業。特に医師が不足している地域に開業する場合や、特定の専門医を確保するための支援が行われることが多い。

若手医師の開業支援制度

若手の医師がクリニックを開業する際の支援。資金提供や設備投資の補助などが行われることがある。

離島医療支援制度

離島部における医療提供の確保を目的とした制度。離島部での開業や勤務をする医師に対する支援が行われる。

診療所建設における補助金

新たにクリニックを建設する際の補助金。特に災害時などに古くなった建物を新しく建て直す場合などに提供されることがある。

医療機器の導入支援

最新の医療機器の導入を支援するための補助金。特に先進的な医療機器をクリニックに導入する際に利用できることがある。

これらの助成金や補助金を利用する際は、該当する自治体や関連機関のホームページや情報を確認し、必要な書類や手続きをきちんと行う必要があります。また、時期や地域、開業する医療分野によって、利用できる制度が異なる場合があるので注意が必要です。

開業資金として融資を受ける手順

クリニック開業のための融資を受けるには、まず開業に必要な総資金を見積もり、そのうちどれだけを融資で賄うかを決定しましょう。次に、融資を受けるための事業計画書を作成します。この計画書には、診療科目、想定される患者数、収益予測、開業地の市場分析など、詳細な情報を含めることが重要です。

融資を受ける先の選定には、医療機関専門の金融機関や、地元の銀行、政府の支援制度など、複数の選択肢を検討しましょう。各金融機関の融資条件、金利、返済期間などを比較し、最も適した融資プランを選びます。融資申請時には、事業計画書の他に、個人の信用情報や財務状況を示す資料も必要となります。

融資の審査には時間がかかるため、開業予定日の数ヶ月前には申請を完了させましょう。審査が通過したら、融資契約を締結し、資金の受け取り手続きを行います。資金の使途は、事業計画書に基づいて厳密に管理してください。融資金が計画通りに使用されていることを金融機関に報告するケースも多いです。

さいごに

クリニック開業の際の助成金や補助金は、医師の活動を支援し、地域医療の充実を図るための重要な制度です。最新の情報や適用条件をきちんと確認し、計画的に活用することで、開業の初期段階での経済的負担を軽減することができます。新しいクリニックが地域社会における健康と医療の拠点として、安心して患者様にサービスを提供するための第一歩として、これらの支援を有効に活用してください。

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