これまでNPO法人は銀行からの融資を得るのが困難で、資金調達に苦労していました。しかし、2015年10月1日の法の改定により、信用保証の利用が可能となり、銀行からの融資も実現できるようになりました。本記事では、NPO法人に利用可能な融資の種類や、融資を得る際の重要な点について解説します。
NPO法人でも融資を受けられる?
NPO法人でも融資を受けられます。過去にはNPO法人が銀行融資を得るのが難しいというイメージがありましたが、法的な背景や融資の仕組みの変化により、現在では多くのNPO法人も銀行や金融機関からの融資を受けることが可能になりました。
2015年10月1日の法改正によって、NPO法人も信用保証制度を利用できるようになりました。この変更により、信用保証協会がNPO法人の融資をバックアップすることで、銀行からの融資がより受けやすくなりました。しかし、融資を受けるためには、NPO法人の経営状況、ビジネスプラン、将来の収益予測などの資料を整備し、銀行に提出する必要があります。また、返済計画や担保の有無なども考慮される要素となります。
NPO法人が利用可能な助成金の条件
NPO法人が受けられる助成金は、その目的や活動内容によって異なりますが、一般的には社会的な貢献度や公益性が高いプロジェクトに対して付与されます。助成金を受けるためには、まずNPO法人としての法的な地位を確立し、適切な登記を行う必要があります。また、助成金を提供する団体や機関は、NPO法人の活動内容や計画の具体性、持続可能性が重視されます。
具体的な条件としては、公益性の高い活動であること、地域社会や特定のコミュニティに対する明確な貢献が期待できること、透明性が高い組織運営などが挙げられます。また、詳細な活動計画書や予算計画、過去の実績報告などが必要となることが多く、これらの書類は助成金提供者の評価基準を満たす必要があります。
さらに、特定の助成金には、活動分野や対象地域、対象となる人々に関する特定の条件が設けられている場合もあります。そのため、NPO法人は自身の活動内容や目的に合致する助成金を見極め、適切な申請戦略を立てることが重要です。 助成金の申請と受領には、しばしば厳格な報告義務や成果の評価が伴うため、これらの要件を満たすための体制整備も不可欠です。
NPO法人が利用できる融資制度の紹介
NPO法人が利用できる融資制度やサポート制度は、日本の法制度や金融機関の取り組みにより多岐にわたっています。以下にその中から代表的な3つを紹介します。
信用保証協会の保証制度
2015年の法改正により、NPO法人も信用保証制度の対象となりました。これにより、信用保証協会がNPO法人の融資を保証することで、銀行などの金融機関からの融資が受けやすくなりました。この制度を利用することで、低い金利や長期の返済条件での融資を受けることが可能となる場合があります。
公的融資制度
地方自治体や国の機関が提供する公的な融資制度もNPO法人の利用対象となっているものがあります。これには、中小企業庁や地域経済活性化支援機構などの公的な融資制度が含まれ、特定の事業活動や地域振興のための資金調達をサポートしています。
社会的事業者向け融資
社会的インパクトを持つ事業を行う団体や事業者を対象とした融資制度も一部の金融機関やファンドで提供されています。これらは、従来の金利や返済条件とは異なり、社会的事業者の事業モデルやインパクトを考慮した条件での融資を提供する場合があります。
これらの制度を利用する際には、各制度の詳細や要件、提供する金融機関や地域による違いなどを事前に確認して、最も適した制度を選択することが重要です。
NPO法人が融資を受ける方法やポイント
方法
1. 適切な融資制度の選択
まず、NPO法人として利用できる融資制度を調査し、最も自組織のニーズや条件に合致するものを選択します。公的融資制度、信用保証協会の保証制度、社会的事業者向け融資などが考えられます。
2. 書類の準備
融資を受けるための申込書や事業計画書、収支予算書、過去の決算書などの必要な書類を整備します。
3. 金融機関とのコンタクト
選択した融資制度に基づき、関連する金融機関や信用保証協会との打ち合わせや相談を行います。
4. 融資申請の提出
必要な書類と共に融資の申請を行います。この際、事業内容や融資の目的、返済計画などを明確に伝えることが重要です。
ポイント
1. 明確な事業計画
融資を受ける目的や使途、返済計画を含む具体的な事業計画を持っていることが重要です。
2. 経営状況の透明性
NPOの経営状況や財務状況を正確に把握し、金融機関に対して適切に伝えることが必要です。
3. 返済能力の確認
融資の返済能力をしっかりと確認し、計画的に返済できることを示す材料を準備することが望ましいです。
4. 信用保証協会との連携
信用保証協会の保証を取得することで、自組織の信頼性が向上し、より良い条件で融資を受けられる可能性があります。
5. 相談やサポートの活用
専門家や融資のサポートを提供する組織、信用保証協会などの相談窓口を活用し、適切なアドバイスやサポートを受けることが推奨されます。
融資を受ける際には、具体的なニーズや目的を明確にし、それに基づいた計画的な手続きを進めることが重要です。
助成金や補助金は取得までに時間がかかる?
助成金や補助金の取得には、申請から実際に資金が手元に届くまで、相当な時間がかかります。まず、申請の準備段階では、詳細な事業計画書や予算案、活動報告書などの必要書類を作成する必要があります。これらの書類は、提供元の要求に応じて非常に詳細に作成する必要があり、準備には数週間から数ヶ月かかることがあります。
次に、提出された申請書類は、助成金や補助金を提供する機関によって審査されます。この審査期間は、数週間から数ヶ月に及ぶことが一般的です。審査期間は、申請の複雑さ、提供元の審査体制、申請の時期などによって異なります。
審査が完了し、助成金や補助金の支給が決定された後も、実際に資金が振り込まれるまでにはさらに時間がかかります。この段階では、契約書の作成や署名、必要に応じた追加書類の提出などが行われます。
全体として、助成金や補助金の取得には、申請の準備から資金の受領までに数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。そのため、NPO法人は資金計画を立てる際に、この時間的な要素を考慮に入れる必要があります。また、助成金や補助金の申請は競争が激しいため、複数の申請を同時並行で進めるのも有効です。 助成金や補助金の申請と取得は、計画的かつ戦略的なアプローチが求められるプロセスであると言えます。
返済原資をどう生み出すか?
返済原資の確保には、組織の収入源の多様化や、効率的な資金管理がポイントです。
まずNPO法人は、寄付金、会費、助成金、イベント収入など、複数の収入源を確保することが重要です。これにより、一つの収入源が減少しても他の収入でカバーできるようになります。例えば、特定のプロジェクトやイベントを通じて資金を集めることができれば、それらの収入を返済原資に充てることが可能です。
NPO法人は、資金の効率的な管理にも注力する必要があります。予算を厳格に管理するほか、無駄な支出の削減、資金を適切に配分することが挙げられます。特に、運営コストを抑えることで、返済に回せる資金を増やすことができます。
加えて、収入を増やすための新しい取り組みを模索することも重要です。例えば、オンラインでの募金活動、商品販売、有料の教育プログラムなど、従来の活動範囲を超えた方法で収入を得ることができます。
返済原資の確保には、長期的な視点が必要です。将来の収入と支出を見越した計画的な資金管理が求められます。また、返済計画は現実的で持続可能なものでなければならず、過度な負担を避けるためにも、慎重な計画が必要です。
このように多様な収入源の確保と賢明な資金管理によって、返済原資を効果的に生み出し、組織の持続可能性を高めることができるでしょう。
まとめ
NPO法人の運営には、十分な資金調達が欠かせません。融資を利用する前に、その条件や金利を把握することが大切です。返済可能性や雇用の創出潜在力を示すための証明が求められるため、定期的な帳簿の更新や専門家との協力を通じて、組織の信頼性と実績を高める取り組みが必要です。
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