2020年5月、大手金融アプリ「PayPay」がユーザーに貸付サービスを提供する新機能を導入しました。現在、登録者数3,300万人以上となり、金融アプリのダウンロード数でトップを誇るPayPay。必要な手続きをスマホだけで完了し、アプリを通じて、簡単にお金を借りることができるようになりました。
しかし、このサービスを利用するにはPayPay銀行(以前の名称:ジャパンネット銀行)の審査をクリアする必要があり、すべてのユーザーが資格を持っているわけではありません。本稿では、この新しいPayPayの貸付サービスについての詳細と、利用資格に関する情報を深掘りしています。また、審査をスムーズに通過するためのポイントも紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
PayPay銀行ビジネスローンの特徴
PayPay銀行ビジネスローンの最大の特徴は、迅速な審査プロセスと利便性の高さにあります。以下に、その主な特徴を紹介します。
迅速な審査プロセス:PayPay銀行は、デジタル技術を駆使した審査システムを採用しており、申込から審査、融資実行までのプロセスが非常に迅速です。これにより、急な資金ニーズにも柔軟に対応できます。
オンライン完結の手続き:申込みから契約までの全ての手続きがオンラインで完結します。店舗に足を運ぶ必要がなく、時間や場所を選ばずに申込みが可能です。
低金利:PayPay銀行ビジネスローンは、比較的低い金利で提供されています。これにより、長期的な資金計画においても負担が軽減されます。
無担保・保証人不要:多くの場合、無担保かつ保証人不要で融資を受けることができます。これにより、資金調達のハードルが低くなります。
柔軟な返済プラン:返済計画は柔軟に設定でき、事業のキャッシュフローに合わせた返済が可能です。これにより、事業運営の負担を軽減できます。
PayPayとの連携:PayPay銀行のアカウントと連携することで、よりスムーズな資金管理が可能になります。また、PayPayを利用することで、さまざまなビジネスシーンでの利便性が向上します。
PayPay銀行ビジネスローンには4種類ある
以前はPayPay銀行ビジネスローンには4種類のものがありました。まずは法人向け・個人事業者向けのローンです。
次にヤフー出店者専用のビジネスローン、USS会員専用のビジネスローン、freee会員専用のビジネスローンです。ただし、これらの提携商品は、現在は新規申し込みの受付が終了されています。
法人向け・個人事業者向けローンは、PayPay銀行が単独で実施しているローンです。
どちらも金利1.8~13.8%、利用限度額1,000万円。返済は月2,000円~と、条件は変わりません。いずれも、決算書の提出は不要となっていますが、法人向けローンは会社の業歴が2年以上、もしくは決算を2期終了していることが条件です。個人事業者向けローンは、起業したてでも借入可能なローンになっています。なお、個人事業主が法人成りした場合には、個人事業主時代から業歴を通算できます。
法人向け・個人事業者向けローンいずれも、申込み時に日本国籍(または永住権)を有した満20~69歳の方であることが条件です。
ヤフー出店者用ビジネスローンは、金利1.45~8.2%、最大3,000万円まで借入可能なローンです。現在は申込ができず、利用中の方も、順次、サービスが終了される予定です。
USSオートオークションの落札資金用ビジネスローンは、金利1.95~14.40%、最大3,000万円まで借り入れ可能なローンです。こちらも、現在は新規申し込みができません。
クラウド型会計ソフトfreee会員専用のビジネスローンは、金利1.45~13.75%、最大3,000万円まで借入可能なローンです。こちらも、現在は新規申し込みができませんので、ご注意ください。
PayPay(ペイペイ)でお金を借りるためには銀行の審査が必要
PayPayでお金を借りる際、実際の融資元はPayPay銀行(かつてのジャパンネット銀行)であり、審査もこの銀行が担当します。
なぜPayPayを通じてPayPay銀行から融資を受けるのか疑問に思うかもしれませんが、実は両者はZホールディングスの下の関連企業となっています。
このシステムを利用して、PayPayのミニアプリから簡単に融資の申し込みが可能です。もしPayPay経由の申し込みに不安を感じる場合でも、実際の融資は経験豊富なPayPay銀行が行うため、安心して利用できます。
PayPay銀行ビジネスローンの必要書類
PayPay銀行ビジネスローンを申込む際は、原則として書類を提出する必要がありません。ただし審査の過程で書類提出を求められる可能性があります。その際に必要とされる書類には、以下のようなものがあります。
事業計画書:事業の概要、将来の展望、収益予測などを含む詳細な計画書。事業の成功の可能性を示すための重要な書類です。
財務諸表:過去数年間の損益計算書や貸借対照表など。事業の財務状況を示し、返済能力の評価に用いられます。
税務申告書:最新の税務申告書類。事業の正確な収益と税務上の状況を反映します。
銀行取引履歴:過去の銀行取引の履歴。資金の流れや取引の安定性を示すために用いられます。
身分証明書:運転免許証やパスポートなど、申込者の身分を証明する公的な書類です。
登記簿謄本:法人の場合、会社の登記簿謄本が必要になることがあります。会社の法的な状況や代表者の情報を示します。
資金使途の説明書:融資を受ける目的とその資金の使途を明確にする書類。資金の適切な使用を保証するために重要です。
PayPay銀行ビジネスローンのメリット・デメリット
メリット
- 手軽な申し込み:PayPay銀行のアプリやオンラインサービスを使用して、簡単に申し込むことができます。
- 迅速な審査:デジタル銀行であるため、審査結果が比較的早く出ることが多い。
- 低金利:一部の事業者には、競合する他の銀行よりも低い金利での融資が可能な場合がある。
- 柔軟な返済プラン:返済のスケジュールや期間など、柔軟に選ぶことができる場合が多い。
- Zホールディングス傘下:信頼性が高く、PayPayとの連携もスムーズ。
デメリット
- 審査基準:全ての事業者が必ずしも資金を借りることができるわけではない。特定の基準を満たす必要がある。
- 最高融資額の制限:大規模な資金ニーズには応えにくい場合がある。
- デジタル重視:一部の伝統的な事業者にとっては、デジタルメインのサービスが使いづらいと感じるかもしれない。
- 他の大手銀行との差別化:特定のサービスや特徴で他の大手銀行との差別化が難しい場合がある。
PayPay銀行ビジネスローンの申込
PayPay銀行ビジネスローン審査フローは以下のようなフローです。
【法人の場合】
- 1. オンライン申込み:24時間対応。必要な書類(決算書2期分)はメール、FAX、郵送から選択して提出。
- 2. 審査フィードバック: 審査結果はメールや電話で知らされる。
- 3. 口座セットアップ:ビジネスアカウントがない場合、口座を新設する手続きが必要。
- 4. 連帯保証の確認:通常、法人代表者が連帯保証人になる。必要な書類は同意書と連帯保証人のID確認書類。
- 5. 契約確定:契約後、即座にPayPay銀行口座への入金が可能。
提出が必要な書類:決算書2期分
【個人事業主の場合】
- 1. オンライン申込み:24時間対応。
- 2. 審査フィードバック:審査結果はメールや電話で伝えられる。
- 3. 口座セットアップ:ビジネスアカウントを未開設の場合、口座開設が必要
- 4. 連帯保証の確認:不要
- 5. 契約確定:契約完了後、ログインしてPayPay銀行口座に即時入金可能。
提出が必要な書類:原則不要だが、利用限度額が300万円を超える場合、所得証明書類が必要
PayPay銀行ビジネスローンを導入すべき企業・向いていない企業
PayPay銀行ビジネスローンは、特に迅速な資金調達を求める中小企業やスタートアップに最適です。比較的短期間で審査が完了するため、急な資金需要に応えることができます。特に、デジタル化に積極的な企業や、オンラインでの取引が多いビジネスには、PayPay銀行ビジネスローンが適していると言えるでしょう。
一方で、大規模な資金調達を必要とする大企業や、長期的な低利融資を求める企業には向いていない可能性があります。また、従来型のビジネスモデルを持つ企業や、デジタル化に消極的な企業は、PayPay銀行のサービスを最大限に活用することが難しいかもしれません。このため、企業の規模やビジネスモデル、資金調達の目的を総合的に考慮し、最適な融資先を選定することが重要です。
まとめ
この記事では、PayPay銀行の新しいビジネスローンの詳細を深く掘り下げてきました。主要な要点を再確認するために、以下に重要な情報をまとめています。
- PayPay銀行は、法人や個人事業主を対象としたビジネスローンを提供していますが、さらに特定のサービスユーザー向けの「提携ビジネスローン」もラインナップに加わっています。
- デジタル銀行としての特長を活かし、全ての手続きをオンラインで完結させることが可能で、これが主な魅力の一つとなっています。
- 「提携ビジネスローン」の特徴として、決算書の提出が不要であるため、手間をかけずに簡単に申し込むことができます。
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