銀行の融資方法にはいくつかのタイプがあり、主に「プロパー融資」「信用保証協会保証付融資」と「ノンバング保証付融資」の3つに分類されます。特に、「ノンバンク保証付融資」はノンバンクが都道府県や銀行と提携し、新たに開発された融資商品です。しかしながら、銀行による主要な融資方法としては、「プロパー融資」と「信用保証協会保証付融資」が中心となります。
この記事で、「プロパー融資」に関する特徴、そのメリット・デメリット、受けるための基準や「信用保証協会保証付融資」との違いに焦点を当てて解説していきます。
プロパー融資とは
プロパー融資とは、銀行や金融機関が、信用保証協会や第三者の保証機関を介さずに、直接借り手に対して行う融資のことを指します。以下に、プロパー融資の特徴をいくつか挙げます。
- 保証人・保証会社不要:プロパー融資は、保証機関の保証を必要としません。そのため、借り手は融資を受ける際に、保証機関の協力を求める必要がありません。
- 審査基準:銀行や金融機関は、プロパー融資を行う際に、借り手の信用状態や返済能力を厳しく審査します。これは、保証機関が存在しないため、貸し出しのリスクを低減するための手段となります。
- 融資条件:一般的に、プロパー融資の利率や融資条件は、保証付きの融資と比較して、やや厳格になることが多いです。しかし、審査に通過すれば、スムーズに融資を受けることができます。
- 対象者:安定した収入や資産を有する者、または信用情報が良好な者が、プロパー融資の対象となることが多いです。
プロパー融資は、保証機関による保証を必要としないため、手続きがシンプルでスピーディな融資を希望する個人や企業にとって魅力的な選択肢となります。しかし、その一方で、審査基準が厳しいため、申し込みに際しては十分な下調べや準備が必要となります。
プロパー融資と保証付融資との違い
プロパー融資と保証付融資は、銀行や金融機関が提供する融資方法の2つの主要な形態です。それぞれの特徴や違いについて以下に詳しく説明します。
保証の有無
プロパー融資:保証機関の保証を必要としません。銀行や金融機関が直接融資先となる借り手の信用状態や返済能力を審査します。
保証付融資:第三者機関である信用保証協会や保証会社が融資に対する返済を保証します。借り手が返済を滞ると、保証会社がその代わりに返済することになります。
審査基準
プロパー融資:一般的に厳格な審査基準を持つ。直接の保証がないため、金融機関は借り手の信用や返済能力を徹底的にチェックします。
保証付融資:審査基準は比較的緩和されることが多い。保証機関による保証が存在するため、金融機関はその保証を背景にリスクを低減できます。
利率
プロパー融資:通常、保証付融資と比較して利率は低めに設定されることが多い。
保証付融資:保証料を考慮すると、実質的なコストが高くなることがあります。
利用対象
プロパー融資:安定した収入や資産、良好な信用情報を持つ者が主な対象。
保証付融資:より多様な層の借り手が対象となり、新規事業者や信用情報に問題がある者でも申し込むことができる場合があります。
プロパー融資のメリット
プロパー融資、すなわち銀行や金融機関が保証機関を介さずに直接借り手に行う融資には、以下のようなメリットがあります。
- シンプルな手続き:保証機関の関与がないため、手続きがシンプルでスムーズに進むことが期待される。
- 低い利率:一般的にプロパー融資の利息は、保証付きの融資に比べて低めに設定されることが多い。
- 保証料が不要:保証付融資では、保証機関に対して保証料を支払う必要があるが、プロパー融資ではそのような費用が発生しない。
- 個人情報の保護:保証人や第三者の保証会社を通さないため、借り手の個人情報がより少ない関係者に知られることとなる。
- 返済計画の自由度:金融機関との直接のやり取りとなるため、返済計画や条件の交渉がしやすくなる場合がある。
- 信用情報の構築:プロパー融資を正確に返済することで、良好な信用情報を構築することが可能で、今後の金融取引に有利に作用することが期待される。
プロパー融資のデメリット
- 厳格な審査基準:保証がないため、銀行や金融機関は借り手の信用や返済能力を徹底的に審査する。これにより、審査が通りにくい場合がある。
- 融資の制限:良好な信用情報や高い収入を要件とするため、一部の個人や新規事業者などが対象外となる場合がある。
- 融資額の制約:一部の金融機関では、プロパー融資の場合、融資可能額が限定されることがある。
- 返済の負担:利率が低いとはいえ、返済が困難になった場合、第三者機関である保証会社が介入してくれるわけではないので、借り手自身が全責任を負うことになる。
- 一括返済の難しさ:一部の金融機関では、プロパー融資の早期返済に際して、返済ペナルティが発生する場合がある。
- 再融資の難しさ:一度プロパー融資で融資を受けた後、再度同じ条件での融資が難しい場合がある。
プロパー融資の金利相場
プロパー融資の金利相場は、金融機関や融資の種類、借入れる金額、返済期間、借り手の信用状況などによって異なります。一般的に、大手銀行や地方銀行のプロパー融資の金利は年間数パーセントから十数パーセントの範囲内で設定されています。ただし信用度が高い企業は低い金利で融資を受けられる可能性が高く、信用度が低いと見なされる場合には高い金利が適用されることがあります。
また、プロパー融資の金利は市場の金利動向にも左右されます。経済状況や中央銀行の政策金利の変動によって、金利は上下することがあり、融資を受ける際には、現在の市場金利や将来の金利動向を考慮することが重要です。
固定金利と変動金利の選択も重要な要素です。固定金利は融資期間中、金利が変わらないため、返済計画を立てやすいですが、変動金利は市場の金利に応じて金利が変動するため、金利が低下すると返済額も減少します。逆に金利が上昇すると返済額が増加するリスクがあります。
プロパー融資を検討する際には、これらの要因を総合的に考慮し、自身の財務状況やリスク許容度に合った金利タイプを選択しましょう。また、複数の金融機関の金利を比較検討することで、最適な融資条件を見つけることが可能です。
プロパー融資を検討すべきタイミング
プロパー融資を検討すべき最適なタイミングは、事業の成長段階や資金ニーズが大きくかかわります。例えば、事業拡大や新規事業の立ち上げ時、大規模な設備投資が必要な場合などは、プロパー融資が適していることも多いです。また、市場の変動に迅速に対応するための運転資金が必要な場合や、緊急の資金調達が必要な状況でもプロパー融資は有効です。
重要なのは、融資を受ける目的が明確であり、返済計画が現実的であることです。事業計画に基づいた堅実な財務計画を立て、返済能力をしっかりと評価することが重要です。また、市場環境や自社の財務状況を考慮し、融資のタイミングを見極めることも大切です。市場が好調な時期に融資を受けることで、より有利な条件で資金を調達することが可能になる場合もあります。
プロパー融資は、一般的には信用度が高い企業や安定した収益を上げている事業者に適しています。信用度が低い場合や、事業が不安定な段階では、融資の承認が得られにくいか、不利な条件での融資となる可能性があります。そのため、事業の健全性や将来性をしっかりとアピールし、信用度を高めることが、プロパー融資を成功させる鍵となります。
プロパー融資を受けるためのコツ
プロパー融資を受けるために、重要となるポイントを紹介しましょう。まずは、事業計画の明確さと実現可能性です。金融機関は、事業計画の具体性と、その計画に基づく収益の見込みを重視します。計画には、市場分析、競合分析、販売戦略、収益予測などを詳細に記載し、事業の成功の可能性を高める要素を明確に示すことが求められます。
過去の財務状況と将来の収益予測も大切です。過去の財務報告書を用いて、事業の安定性と成長性を確実に証明しましょう。将来の収益予測は、現実的かつリスク要因を考慮したものでなければなりません。
信用度向上も重要です。過去の借入履歴や返済実績が良好であること、事業の安定性、経営者の経験や能力などが影響します。信用情報が良好であればあるほど、金融機関からの信頼を得やすくなります。
融資の申請に際しては、必要な書類を完全かつ正確に準備することが不可欠です。不備や誤りがあると、審査に時間がかかるだけでなく、不利な印象を与えかねません。事業計画書、財務諸表、税務申告書など、要求される書類は事前に確認し、適切に準備しましょう。
融資の条件や金利、返済スケジュールなど、融資契約の詳細を十分に理解し、自社にとって最適な条件を選ぶことが重要です。必要に応じて、金融専門家のアドバイスを求めることも有効です。プロパー融資は、適切な準備と戦略によって、事業の成長と発展を大きく後押しすることができます。
プロパー融資を申込む際の必要書類
プロパー融資を申し込む際には、金融機関が求める様々な書類を準備します。これらの書類は、金融機関が貸出の可否を判断するための重要な基準となるものです。一般的に必要とされる書類について紹介しましょう。
- 事業計画書:融資の目的、事業の内容、市場分析、販売戦略、収益予測などを詳細に記載したものです。事業の成功の見込みを具体的に示すことが重要です。
- 財務諸表:過去数年間の財務諸表(損益計算書、貸借対照表など)を提出します。これにより、事業の財務状況と安定性が評価されます。
- 税務申告書:最近の税務申告書を提出することで、事業の正確な収益と税務上の状況が確認されます。
- 経営者の履歴書及び職務経歴書:経営者の経歴と経験は、事業の成功に大きく影響します。経営者の能力と信頼性を示すために、履歴書や職務経歴書が必要です。
- 資金使途計画:融資を受けた資金の具体的な使途を明確に示す計画書です。資金の効果的な使用方法を示すことが求められます。
- 信用情報:個人や事業の信用情報を提出することで、過去の借入れ履歴や返済実績が評価されます。
- 担保物件の情報(該当する場合):担保として提供する不動産やその他の資産に関する書類。これには、登記簿謄本や評価書などが含まれます。
これらの書類は、融資の申し込みにおいて非常に重要です。不備や不足があると、審査に影響を及ぼす可能性があるため、事前に準備と確認を徹底することが肝心です。また、金融機関によって求められる書類が異なる場合もあり、具体的な要件を事前に確認しておくことが重要です。
まとめ
プロパー融資の詳細やその審査基準をお伝えしましたが、資金の調達手段はそれだけに限りません。例えば、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの資金提供や、各種の補助金の活用なども考えられます。
銀行の融資が受けられない場面でも、経営者として多角的な方法での調達を考慮すべきです。資金調達に関する様々な手段の長所・短所を把握し、専門家や税理士の意見を取り入れながら、ビジネスの発展のための最適な選択を追求しましょう。
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