バーを開業しようとする方にとって、資金の確保は重要な課題です。この記事では、バーの開業に必要な運転資金について詳しく説明します。
なぜバーの開業には資金が必要か?
バーを運営する際には、様々な経費や初期投資が必要となりますが、以下に資金の詳細についてご紹介します。
賃料と光熱費
バーを運営するためには、店舗スペースを借りる必要がありますので、店舗の賃料や光熱費など月々の費用が発生します。
飲料や食材の仕入れ費用
バーではお酒や食材を仕入れ、提供することが主なビジネスです。質の高い飲料や食材を提供するために、仕入れ費用は必要不可欠です。
調理器具や家具の購入費用
調理器具や家具として、バーカウンターやテーブル、椅子など、お客様が快適に過ごせる環境を整えるための購入費用も考慮しなければなりません。
広告宣伝費用
競争が激しい飲食業界で差別化を図るためには、広告宣伝活動が欠かせません。看板やフライヤー、SNS広告など、集客やブランドイメージを築くための費用も発生します。
従業員の給与
バーテンダーやウェイターなどの従業員の給与を支払う必要があります。
税金や手数料
飲食業を運営する上で、税金や各種手数料も支払わなければなりません。
バーの開業にはどのくらいの金額がかかる?
店舗の規模や立地によりますが、バーの開業には、一般的におよそ500万~1,000万円が必要とされています。飲食店を新しく開業する際には、物件取得費や内装工事費などの初期費用に加えて、少なくとも数ヶ月分、可能であれば半年分程度の運転資金を用意する必要があります。こうした費用の面で、バーの開業は他の飲食店と比較してやや高額になる傾向があります。以下では、初期費用と運転資金の内訳について詳しく見ていきましょう。
初期費用の内訳
バーの開業には、およそ500万円前後の初期費用が必要とされています。最初に考慮するべき費用は、テナント物件の家賃です。バーは広いスペースが必要となることが多いため、地域によって差はあるものの、月々の家賃は平均で25万円前後となります。また、物件を借りる際には保証金として150万~200万円程度が必要です。さらに、店舗の運営に必要な什器や食器の調達にも約80万円の費用がかかります。内装工事にこだわる場合は最低でも100万円、より高品質な内装を望むのであれば200万円程度の費用が見込まれます。
運転資金の内訳
バーの運営には、1ヶ月あたり平均で50万~80万円程度の運転資金が必要となります。この内訳において、家賃が最も大きな割合を占めており、20万~25万円程度が見込まれます。立地や規模によっては、家賃を15万円程度まで抑えることも可能ですが、ある程度の規模のバーを運営する場合は20万円程度を見込むことが適切でしょう。また、水道光熱費としては月々5万円前後、原価費用としては月々10万円前後が必要となります。さらに、スタッフを雇用する場合には、1ヶヵ月あたり15万~25万円程度の人件費も考慮する必要があります。
開業時に使える助成金・補助金
一般的に、特定の業種や産業、地域振興、雇用創出などを促進するために、政府や自治体が様々な助成金や補助金を提供しています。ただし、具体的な助成金や補助金の詳細は時期や政策によって変動することがあるため、最新情報を別途確認してください。
中小企業振興支援事業による助成金
バーが中小企業に該当する場合、経営支援や設備導入のための助成金を受けることができる場合があります。
創業助成事業による補助金
新規創業者や起業家を支援するための補助金が使用できる可能性があります。
地域振興事業による助成金
特定の地域において、地域振興や雇用創出を目的とした助成金が提供されることがあります。
雇用関連の助成金
新たに雇用を創出する企業に対して、雇用促進のための助成金が提供されることがあります。
運転資金の調達方法とそれぞれのメリット・デメリット
バーの開業には運転資金が不可欠です。運転資金の調達方法は多岐にわたり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。ここからは、バーの開業において考慮すべき主要な運転資金の調達方法と、そのメリットやデメリットについて解説します。
自己資金
自己資金とは、個人の貯蓄や資産をビジネスに投資することで、外部からの借入れに頼らずに事業を始められる資金です。
メリットは、返済の圧力がなく、利息負担が発生しない点です。また、自己資金を用いることで、事業に対するコミットメントを示し、将来的な投資家や融資機関からの信頼を得やすくなります。
デメリットは、自己資金のみに依存すると、資金繰りにリスクが伴う点です。他の資金調達方法と併用するのがおすすめです。
銀行融資
銀行からの融資を受けることで、必要な資金を確保し、事業の立ち上げや運営に必要な資本を補う方法です。
銀行融資のメリットは、比較的低い金利で資金を調達できる点にあります。返済計画が明確であるため、資金管理がしやすいという利点もあります。
デメリットは、厳格な審査を通過する必要があり、担保や保証人の提出が求められる場合もある点です。そのため銀行融資を受ける前には、返済能力をしっかりと評価し、計画的に資金を管理することが重要です。
政府や地方自治体の助成金・補助金
これらは、特に新規事業者や小規模事業者を支援することを目的としており、資金面での負担を軽減することができます。
メリットは、返済の必要がない点です。資金繰りの圧力を減らし、事業の安定化に貢献できます。
デメリットは、特定の条件や目的に基づいて提供されるため、申請には詳細な事業計画や報告書の提出が必要になる点です。加えて、競争が激しく、申請から承認までに時間がかかることもあります。
エンジェル投資家・ベンチャーキャピタル
特に革新的なコンセプトや成長可能性の高い事業に適しています。これらの投資家は、事業の初期段階で資金を提供し、事業の成長とともにその価値を増大させることを目指します。
メリットは、大きな資金を比較的短期間で調達できる点です。また、投資家はしばしば、自身の持つ事業経験やネットワークを提供し、事業の成長をサポートする点も魅力です。
デメリットとしては、事業の一部の所有権を譲渡する必要があり、経営上の意思決定に影響を及ぼす可能性がある点です。
クラウドファンディング
インターネットを通じて多くの個人から小額の資金を集めることができる方法です。
最大のメリットは、銀行融資や投資家からの資金調達とは異なり、資金提供者に対して所有権や返済義務を負わないことです。事業のアイデアやコンセプトを広く公開することで、潜在的な顧客との関係を築き、事業への関心を高めることができます。
デメリットとしては、目標金額に達しない場合、資金が得られないリスクがあることや、プロジェクトの成功には効果的なマーケティング戦略が必要であることが挙げられます。
友人や家族からの借入
友人や家族からの借入は、一般的な運転資金の調達方法の一つです。
最大のメリットは、低金利または無利子で資金を得られることです。銀行融資のような厳格な審査プロセスを経る必要がなく、迅速に資金を調達できる可能性があります。
デメリットは、個人的な関係に金銭が絡むことで、信頼関係が損なわれるリスクがあることです。借入を行う際は、返済計画を明確にし、書面に残すことで、誤解を避け、双方の信頼関係を維持することが重要です。
運転資金で注意するべき点とは?
資金計画の立て方
開業に必要な初期費用と運営にかかる経費を把握し、将来の収支を予測しておくことで、資金不足や超過を防ぐため、開業前に適切な資金計画を立てましょう。
コスト管理
運営中は定期的に経費を監視し、無駄な出費を抑える努力を怠らないようにしましょう。例えば、食材や飲料の仕入れにおいて適切な数量と価格を確認することで、原価率を下げることができます。
過度な在庫を抱えない
余計な在庫を抱えることはキャッシュフローを圧迫します。必要最低限の在庫を保ち、売れ筋の品目を適切に管理することが重要です。
売上管理
売上を適切に管理することで、経営の健全性を把握できます。日々の売上やピーク時の予測など、経営を助ける情報を常に把握するよう心掛けましょう。
適切な予備資金
突発的な出費や売上の減少に備えて、適切な予備資金を確保しておくことが大切です。予期せぬ事態に対処できるよう、リスクを最小限に抑えるための対策を立てておきましょう。
債務管理
ローンを抱える場合は、返済計画をしっかりと立てて守ることが重要です。過度な借入は経営に悪影響を及ぼす恐れがあるため、借入をする場合には慎重に検討することが必要です。
もし運転資金が枯渇したら
バーの運営において、運転資金が枯渇することは深刻な問題です。まずは現状の財務状況を正確に把握し、支出を見直しましょう。不必要な経費の削減や、よりコスト効率の良いサプライヤーへの切り替えを検討することが効果的です。
迅速な資金調達のために、短期間の銀行融資や、緊急のクラウドファンディングキャンペーンを検討することも一つの方法です。既存の顧客に対するプロモーションや特別イベントの開催を通じて、短期間での収入増加を目指すのも有効です。重要なのは、資金繰りの問題に迅速かつ積極的に対処し、事業の持続可能性を確保することです。
さいごに
バーの開業には慎重な資金計画が欠かせません。調達方法を理解し、初期費用と運営費用をしっかりと把握してスムーズに開業しましょう。適切な資金の準備と計画を持つことで、魅力的なバーを運営し、多くのお客様に愛される場所を創り上げましょう。
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