ペットショップを開業しようとする方にとって、資金の確保は重要な課題です。この記事では、ペットショップの開業に必要な運転資金について詳しく説明します。
なぜペットショップの開業には資金が必要か?
ペットショップの開業には、以下のような資金が必要になります。
在庫購入
ペットショップでは、ペットの仕入れや、フード、おもちゃ、ケージなどの商品を購入するために十分な資金が必要です。
店舗レンタルまたは購入
ペットショップを運営するために、店舗を借りるか、購入する必要があります。そのため、賃料やローンの支払いが発生いたします。
インテリアと設備
展示ケージや水槽、ペットのための快適な環境を提供するための設備とインテリアを整える必要があります。
従業員の給与
ペットショップを運営するには、スタッフのを雇用がは必要です。そのため、従業員の給与支払いや研修にかかる費用をカバーする必要があります。
ライセンスと許認可
ペットショップを営業するには、資格の取得や法律や規制を順守する必要があります。
保険料
事故やトラブルに備えて、ペットショップにはビジネス保険をかけることが一般的です。保険料がかかるため、これも資金の一部となります。
その他の経費
予期せぬ出費や日常的な運営に必要な経費(水道光熱費、清掃費、オフィス用品等)も考慮しなければなりません。
ペットショップの開業の基本の流れと必要な資格
ペットショップを開業するために必要な第一種動物取扱業の登録について、詳細を説明します。
第一種動物取扱業の登録
1. 動物取扱責任者の選定:
– 獣医、愛玩動物看護師、専門学校卒業者、愛玩動物飼育管理士などの資格を持つ常勤職員を選任。
– 実務経験または同等の飼養経験が必要。
2. 申請の提出:
– 事業所の所在地を管轄する都道府県の動物愛護センターや保健所などにて申請。
– 1種別あたりの手数料は約15,000円。
3. 施設検査:
– 管轄機関による施設の検査。
4. 登録証の交付:
– 登録証が交付されると、営業開始が可能。
5. 営業開始:
– 登録後、定期的な動物取扱責任者研修の受講。
– 登録は5年ごとの更新が必要。
第一種動物取扱業の種別
– 販売: ペットの販売。
– 保管: ペットホテルなど。
– 貸出し: ペットレンタルなど。
– 訓練: ペットの訓練。
– 展示: 動物ふれあいパークなど。
– 競りあっせん: セリ市など。
– 譲受飼養: 老犬ホームなど。
犬猫へのマイクロチップ装着
– 2022年6月から、犬猫へのマイクロチップ装着がペットショップに義務付けられています。
仕入れ先の選定
– ブリーダー: 血統書付き動物の繁殖業者。品質が確認しやすいが、悪質な業者に注意。
– オークション(セリ市): 多種多様な動物が入手可能だが、品質の見極めが必要。
– 自家繁殖: 中間マージンがかからず、健康状態の管理がしやすいが、種類や数に限界がある。
ペットショップを開業する際には、これらの手続きや条件を確実にクリアする必要があり、動物愛護の観点からも責任ある運営が求められます。また、仕入れ先の選定には特に注意が必要で、動物の健康や福祉を最優先に考慮する必要があります。
どのくらいの金額がかかる?
物件取得費: 90~300万円
店舗の賃貸料として20坪の店舗を30万円/月で借りる場合を想定しています。契約時には契約金(保証金)が賃貸料の3~10ヶ月分必要です。
内外装工事費: 400万円
坪単価20万円で内外装工事を行うと見込まれます。ペットショップでは防音対策や防臭対策が必須なため、内装工事は慎重に行われるでしょう。
仕入れ費用: 120~150万円
1頭あたり6万円で仕入れを行い、20~25頭を想定しています。
什器・備品費: 120~200万円
ケージ、水槽、店内の備品などを準備するために必要な費用です。
運転資金: 660~690万円
初期段階でのランニングコストを6ヶ月分の予算として計算しています。
上記の項目を合計すると、初期費用の概算合計は1,390~1,740万円になります。ただし、物件の立地や規模によっては、物件取得費や内外装工事費が大きく変わることがあります。また、居抜き物件を利用する場合は内外装工事費を削減できる可能性があります。
ペットショップに必要な開業資金の調達方法
ペットショップ開業のための資金計画
初期投資の内訳
1. 物件取得費: およそ90万円から300万円
– 20坪の店舗を月額30万円で借りることを前提。
– 契約金(保証金)として賃貸料の3~10ヵ月分が必要。
2. 内外装工事費: 約400万円
– 1坪あたり20万円で計算。
– ペットショップ特有の防音、防臭対策を含む。
3. 商品仕入れ費: 約120万円から150万円
– 一頭あたり6万円で、20~25頭を想定。
4. 什器・備品費: 約120万円から200万円
5. 運転資金: 約660万円から690万円
– 6ヶ月分のランニングコストを想定。
– 初期投資合計: 約1,390万円から1,740万円
月間運営コスト
– 賃貸料: 月額30万円
– 仕入れ費: 月額60万円
– 飼育費: 月額20万円から25万円
– 20~25頭の常時飼育を想定し、1頭あたり1万円で計算。
– 月間運営コスト合計: 月額110万円から115万円
融資についての考慮
– 自己資金だけでは不十分な場合、金融機関からの融資が選択肢となります。
この資金計画には人件費や水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費などの細かな費用は含まれていませんが、これらも開業計画において重要な要素です。立地や店舗の規模によって、これらの費用は大きく異なる可能性があります。
開業時に使える助成金・補助金
助成金や補助金は、新規事業者の支援や地域経済の振興を目的として提供されることが一般的です。以下に、ペットショップの開業に活用できる、一般的な助成金・補助金や支援の例をいくつか挙げてみます。
中小企業支援事業による助成金
地域により、中小企業の新規事業や成長を支援するための助成金が提供されています。ペットショップ開業者も対象になる場合があります。
地域振興事業による助成金
特定の地域において、新規事業の立ち上げや地域の活性化を目的として、地域振興事業による助成金が提供されることがあります。
農林水産業関連の助成金
ペットショップが動物を扱う場合、農林水産業関連の助成金や補助金を利用できる場合があります。
青年起業家支援
若者の起業を促進するための助成金やプログラムが存在する場合があります。
環境保護・動物福祉関連の助成金
環境保護や動物福祉を重視するペットショップの場合、関連する助成金が提供される可能性があります。
これらの助成金や補助金の申請条件や提供内容は異なりますので、具体的な情報を得るためには、地域の自治体、商工会議所、産業振興機関などの公的機関に問い合わせるか、経済支援の専門家に相談しましょう。
運転資金で注意するべき点とは?
適切な見積もり
運転資金を見積もる際には、できるだけ正確な数字を把握することが重要です。購入するペットや商品の仕入れ費用、給与、光熱費など、必要な項目を詳細にリストアップし、適切な金額を見積もることが大切です。
備忘録と予実管理
運転資金の使用に関しては、収入と支出のバランスをしっかりと管理する必要があります。収入と支出の予実管理を行い、過去の記録を元に備忘録を作成することで、運転資金の透明性を高めることが重要です。
適切な現金管理
運転資金は現金での支払いが多い場合があります。現金の管理には細心の注意が必要で、収支を正確に記録し、適切な時期に適切な金額を用意するように心掛けましょう。
長期と短期の区別
運転資金は、長期的な経営計画と短期的な日常経費の両方をカバーする必要があります。将来の事業拡大や投資を考慮した長期的な運転資金と、日々の営業に必要な短期的な運転資金を区別し、管理することが重要です。
需要と供給のバランス
過剰な在庫や高額の仕入れは、運転資金の無駄遣いにつながる可能性があります。需要と供給をしっかりと把握し、在庫を適切に管理することで、無駄な出費を避けることが大切です。
インフレと価格変動の影響
物価の変動やインフレの影響を理解し、価格設定と運転資金の見直しを定期的に行うことが必要です。経済の変動に柔軟に対応することで、経営を安定させることが重要です。
これらのポイントに注意しつつ、適切な運転資金管理を行うことで、ペットショップの運営がスムーズに進むことが期待できます。
さいごに
本記事で解説したポイントに注意しつつ、適切な運転資金管理を行うことで、ペットショップの運営がスムーズに進むことが期待できます。また、会計士や経営コンサルタントなどの専門家に相談することで、より効果的な運転資金管理が可能になるでしょう。
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