措置期間は、融資を受けた際に元金返済を一定期間延期することができる期間のことです。この期間を設定することで、返済負担を軽減し、事業の立ち上げや拡大に注力することができます。本記事では、措置期間について詳しく解説します。
措置期間とは?
「据置期間」とは、銀行から融資を受けた場合に、元金返済を一定期間延期する期間を指します。
すなわち、融資元からの利息のみを支払う期間を含めた、返済猶予期間のことです。
このような期間を設定することで、開業資金などの融資を受けた企業が事業を安定的に立ち上げ、返済計画を立てることができます。
ただし、このような据置期間を設定する際には、注意が必要です。
なぜなら、利息だけを支払う期間も返済期間に含まれるため、返済期間全体に占める元金返済期間が短くなるからです。
例えば、返済期間が5年であり、据置期間が1年の融資条件においては、返済期間は5年間となります。つまり、「6年かけて完済すればよい」という考え方は誤りであり、1年間の据置期間中は利息のみを支払い、その後の5年間で元本と利息を合わせて返済することになります。
融資の据置期間を設定する方法とポイント
据置期間を設定するには、融資機関との交渉が必要です。据置期間を設定するための具体的なポイントを紹介しましょう。
ポイント1:目標の明確化
まずは目標を明確にしましょう。目標は、具体的かつ測定可能であることが重要です。売上高、市場シェア、顧客獲得数など、数値で表せる目標を設定し、進捗のモニタリングと評価をしやすい状態にしておきましょう。
目標には明確な期限を設けます。短期、中期、長期の目標を設定し、それぞれの期限を明確にすることで、計画の進行状況を追跡しやすくなります。この際、市場の動向、資源の可用性、チームの能力などを考慮して、実現可能な目標を設定しましょう。
設定する目標は、事業の全体的なビジョンや戦略と密接に関連している必要があります。合わせて、市場や業界の変化に対応できるような柔軟な目標にしましょう。定期的にレビューを行い、必要に応じて目標を調整してください。
ポイント2:スキルの向上
据置期間を設定する際は、業界の最新動向、技術、手法に関する知識を常に入手することが重要です。定期的なトレーニングプログラムやワークショップの参加を奨励し、チームのスキルを継続的に向上させることも大切になります。特定の分野や技術に関する専門知識を深めることで、事業に独自の価値を加えることができるからです。
また、チーム内のコミュニケーションスキルと協働能力を高めることで、効率的な作業環境を構築することができます。新しい技術やツールを導入し、作業の効率化や品質の向上も図りましょう。
ポイント3:自己分析と振り返り
自己分析と振り返りを通じて、個人の成長と事業の発展を促進しましょう。達成した目標、直面した課題、学んだ教訓などをまとめることで、事業の成長や返済計画を早めることにつながります。
そのためには短期的および長期的な目標を設定し、定期的に進捗を確認することが重要です。目標に対する進捗状況を振り返り、必要な調整を行いながら効率的に目標達成に向けて進みましょう。
失敗から学ぶことで、個人としても事業としても成長します。失敗を経験として捉え、次のステップに活かすことが重要となります。
措置期間のメリット
融資の据置期間は、創業資金に限らず事業に必要な様々な出費がかかる初期の段階での利用が一般的です。
特に、事業が立ち上がり、経営が安定するまでには時間がかかる場合が多く、このような時期に据置期間を設定してもらうことで、資金繰りが楽になるメリットがあるのです。
もし、予想以上に売上が伸びた場合には、余剰分を返済することも可能ですし、元金返済を早めることもできます。
この制度を活用することで、返済負担を軽減し、事業に集中することができ、事業の安定的な発展を目指すことができます。
・商品・サービスの改良や新商品・サービスの開発などに取り組むことができ、より良いビジネスモデルを構築することができます。
・返済負担が軽減されることで、社員の雇用や広告宣伝に掛かる費用の捻出など、事業発展に必要な資金を確保することができます。
・経営計画に柔軟性が持たせられるため、事業計画の変更や新たな投資計画の実行ができます。
・据置期間中は元金返済がないため、キャッシュフローの改善につながります。元金返済が始まる前に、売上を拡大したり、コスト削減を実行できます。
措置期間のデメリット
融資の据置期間にはメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。一般的には、以下のようなデメリットが考えられます。
・総利息が増える可能性がある:据置期間を設けることによって、元金を返済するまでに利息が発生し続けます。そのため、返済期間中に支払う総利息が増える可能性があります。
・返済期間が長くなる:据置期間がある場合、元金返済が開始されるまでの期間が長くなります。そのため、返済期間が長くなり、返済完了までの時間がかかることがあります。
これらのデメリットは、事業計画をしっかりと立て、返済計画を適切に立てることで、ある程度は回避できるものもあります。
ただし、融資の据置期間には必ずしもメリットばかりがあるわけではないため、注意が必要です。また、据置期間は任意に設定することができますが、この期間が希望通りに設定されるとは限りません。実際には、希望していた1年間の据置期間が3か月や6ヶ月に短縮される場合も少なくありません。
したがって、据置期間を十分に活用するためには、資金繰りや返済能力を考慮し、希望する期間の根拠を明確にし、事前にシミュレーションすることが大切なのです。
融資での据置期間設定に関する留意点
据置期間を設定する際は次のような点に気を付けましょう。
据置期間の目的と利用計画
据置期間を設定する主な目的は、事業の初期段階でのキャッシュフロー圧力を軽減することです。据置期間の終了後の返済計画を事前に立てることが重要です。
利息の蓄積に注意
多くの場合、据置期間中も利息は発生し続けます。この利息は後に返済額に加算されるため、長期の据置期間は将来の返済負担を増加させる可能性があります。利息の蓄積を考慮した上で、適切な据置期間を選択することが必要です。
返済能力の評価
据置期間終了後の返済能力を正確に評価し、返済計画を立てることが重要です。事業の収益予測やキャッシュフロー計画を基に、返済がスムーズに行えるかどうか検討する必要があります。
条件の確認と交渉
融資契約を結ぶ前に、据置期間に関する条件を詳細に確認し、金融機関と交渉を行います。期間の長さ、利息の計算方法、返済開始時期などを考慮しましょう。
将来の事業計画との整合性
据置期間の設定は、将来の事業計画と整合性を持たせることが重要です。事業の成長段階や資金需要に合わせて、最適な据置期間を選択しましょう。
まとめ
まとめると、措置期間を有効に活用するためには、以下のようなことが重要です。
・自社の資金繰りを正確に把握すること
・返済能力を適切に評価すること
・措置期間中に事業の成長や収益性の改善を目指すこと
・返済計画を立て、期日を遵守すること
これらのポイントを抑えて措置期間を活用することで、事業の成長や発展を促進することができます。
また、融資を受ける前に、資金繰りの見通しや返済計画などを事前にしっかりと立て、融資を適切に活用することも大切です。ぜひ参考にしてうまく措置期間を活用しましょう。
創業を考えている個人事業主や事業成長を目指す経営者の方は、融資コンサルティングを行う「バリューソル株式会社」をご利用ください。メガバンクで培った融資ノウハウをもとに、事業計画書の作成や金融機関への交渉をサポートします。LINEやメール、電話、ビデオチャットにて無料相談を受け付けていますので、事業計画書の書き方でお悩みの方はお気軽にご相談ください。