新たな事業を始める際、資金調達は最も重要なステップの一つです。多くの起業家が銀行や金融機関からの融資を利用することを考えますが、その際に必要とされるのが「連帯保証人」という存在です。本記事では、創業融資と連帯保証人に関する基本情報と、その役割・注意点について詳しく解説します。
連帯保証人とは?
連帯保証人は、融資やローンを受ける際に、借り手(債務者)が返済を果たせなくなった場合に、金融機関や貸し手(債権者)に対してその債務を返済する責任を負う第三者のことを指します。簡単に言うと、本来の借り手が返せなくなった場合の「保証人」としての役割を果たす人や組織のことです。
連帯保証人の役割と責任
連帯保証人は、借入れを行う際に、本人と共に貸付金の返済義務を負う重要な役割を果たします。この制度は、借入れした本人が何らかの理由で返済が困難になった場合に、金融機関が損失を被るリスクを軽減するために設けられています。連帯保証人になることは、単に名前を貸すということではなく、借入れした本人と同等の責任を負うことを意味します。
連帯保証人の責任は大きく、借入れした本人が返済を怠った場合、保証人に対して直接、残りの債務返済を求めることができます。この場合、連帯保証人は法的に返済を拒否することができず、借入れした本人に代わって債務を全額負担することになります。そのため、連帯保証人は、借入れした本人の経済状況や返済計画を十分に理解し、返済能力があるかどうかを慎重に評価する必要があります。
また、連帯保証人は、締結した金銭消費貸借契約に関わる全ての条件や条項を把握し、自身がどのような状況下で責任を問われるのかを明確に理解しておくべきです。保証人になることのリスクを軽減するためには、借入れした本人との信頼関係の構築と、定期的なコミュニケーションを通じて、返済状況を把握しておくことが重要です。
連帯保証人制度は、借入れした本人にとって貴重なサポートを提供する一方で、保証人には大きな責任とリスクが伴います。そのため、連帯保証人をお願いする際や、保証人になることを検討する際には、その責任とリスクを十分に理解し、慎重な判断が求められます。
何故連帯保証人が必要なのか?
連帯保証人が必要とされる理由は、主に金融機関のリスク管理と信頼性の確保に関連しています。具体的には以下のような点が挙げられます。
- 債務者の返済リスクの軽減: 金融機関は、貸し出した資金を確実に回収するための安全網として連帯保証人を設定します。債務者が何らかの理由で返済できなくなった場合、連帯保証人がその債務を肩代わりすることによって、金融機関の損失リスクが軽減されます。
- 信用情報の不足や不確実性の補完: 特に新規の事業者や若年者、または信用情報に問題のある人物が融資を受ける場合、その信用度が低いと判断されることがあります。このような場合、連帯保証人の存在は金融機関にとっての追加的な安心材料となり、融資の障壁を低くする役割を果たします。
- 融資の条件緩和: 連帯保証人がついていることで、金融機関は融資の条件をより有利に設定することができる場合があります。これにより、低い金利や長い返済期間など、より良い条件での融資が受けられる可能性が高まります。
- 金融機関の方針や規制への対応: 金融機関によっては、特定の融資商品や業種、金額に対して連帯保証人の設定を求める方針を採っている場合があります。また、金融機関が従うべき規制やガイドラインに基づき、連帯保証人の設定が必須とされることもあります。
以上のような理由から、金融機関は融資の際に連帯保証人を求めることが一般的です。しかし、近年では連帯保証人なしの融資プランも増えてきているため、融資を受ける際には様々なオプションを検討することが重要です。
連帯保証人側のリスクとは?
連帯保証人には複数のリスクが伴います。以下に、その主なリスクを挙げてみましょう。
- 返済責任: 一番の大きなリスクは、債務者が返済を果たせなくなった場合、連帯保証人がその代わりに債務全額の返済責任を負うことです。連帯保証人として契約した場合、債務者と同等の返済義務が発生するため、経済的な負担が生じる可能性が高まります。
- 信用情報の影響: 債務者の返済遅延やデフォルト(債務不履行)が連帯保証人の信用情報にも記録され、影響を及ぼす可能性があります。この結果、連帯保証人自身が将来的に融資やクレジットカードの取得を希望した場合に、その審査に悪影響を及ぼすことが考えられます。
- 資産の差し押さえ: 債務者が返済を怠り、連帯保証人も返済を果たさない場合、金融機関は連帯保証人の資産を差し押さえる権利を行使することができます。
- 情報不足: 債務者の返済状況や経済状態について十分に情報が提供されない場合、連帯保証人は自身のリスクを正確に把握できない可能性があります。
- 精神的ストレス: 債務者が返済困難に陥った際、連帯保証人としての責任を果たすための経済的負担や、それに伴う精神的ストレスが増大することが考えられます。
連帯保証人をお願いする際のポイント
連帯保証人をお願いする際は、その役割とリスクの重大性を十分に理解して、相手にもしっかりと伝える必要があります。以下は、連帯保証人をお願いする際のアプローチとポイントです。
- 信頼関係を築く:連帯保証人になってもらうためには、まず信頼関係を築くことが基本です。長い関係や深い信頼関係がある方が、保証人としてのリスクを受け入れやすくなります。
- 正直かつ詳しく説明する:融資の目的や金額、返済計画などを詳しく説明します。連帯保証人の役割とそのリスクを明確に伝えます。返済が滞るリスクや、それに対する対策についても共有します。
- 質問に丁寧に答える:相手が疑問や不安に思う点について、できるだけ具体的に、そして丁寧に答えるよう努めましょう。
- プレッシャーをかけず、時間を与える:連帯保証人の役割は重大ですので、即答を求めず、十分な時間を与えて考えてもらうよう心がけましょう。
- 文書での情報提供:口頭での説明だけでなく、必要な情報や契約内容を文書で提供すると、相手も納得しやすくなります。また、将来的なトラブルを避けるためにも、文書による確認は重要です。
- 感謝の意をしっかりと伝える:相手が連帯保証人としての役割を受け入れてくれた場合、その親切や信頼に対して感謝の意を深く伝えることが重要です。
最後に、連帯保証人を頼む際は、自分自身がしっかりとした返済計画を持ち、その計画を守る意志と能力があることを相手に伝えることも大切です。
連帯保証人をお願いする際のエチケット
連帯保証人をお願いする際には、相手に対する敬意と誠実さをもって接することが非常に重要です。このプロセスは、相手に大きな責任を負わせることになるため、以下のエチケットを守るべきです。
まず、事前にしっかりとした準備を行い、借入の目的、金額、返済計画など、必要な情報を明確に整理しておくことが大切です。この情報を基に、連帯保証人になることの意味、リスク、責任について正確かつ詳細に説明し、十分な理解を得るよう努めます。
次に、お願いするタイミングと場所を慎重に選びます。プライベートな空間で、相手がリラックスしており、時間的な余裕がある状況を選定することが望ましいです。急がせることなく、相手が全ての情報をじっくりと考え、質問や懸念を表明できる環境を提供します。
また、連帯保証人になることの重大性を理解し、相手が承諾するかどうかにかかわらず、その決断を尊重する姿勢を見せることが重要です。承諾してくれた場合は、その責任を軽く見ないこと、そして感謝の気持ちをしっかりと伝えます。
さらに、連帯保証人になることへの不安を軽減するために、返済計画の確実性を強調し、可能な限りリスクを最小限に抑えるための策を提示することも有効です。これには、返済能力の証明や、返済計画の詳細な説明が含まれます。
最後に、連帯保証人になってもらうことの感謝を忘れず、借入後も定期的にコミュニケーションを取り、返済状況を透明に報告することで、信頼関係を維持し、相手の不安を軽減します。
連帯保証人をお願いする際の心構え
連帯保証人をお願いする際には、その重大な責任と影響を深く理解し、誠実な心構えで臨むことが必要です。まず、自身の返済計画をしっかりと立て、経済的な安定性を確保することが大切です。これは、連帯保証人に不必要な負担をかけないための基本的な前提条件です。
次に、保証人になってもらいたい人に対して、計画の詳細、返済能力、そしてリスクについて透明かつ正直に伝えることが重要です。借入れの目的、金額、返済期間、そしてもし返済が困難になった場合の対策についても共有し、十分な理解と同意を得ることが必要です。
また、連帯保証人に対する感謝の気持ちを忘れず、その責任を軽減するためにも、返済計画に沿って確実に返済を行うことを約束するべきです。万が一の状況に備え、保証人と定期的にコミュニケーションを取り、返済状況を透明に報告することも大切です。
さらに、連帯保証人をお願いすることの重さを理解し、その決断に感謝し、尊重する姿勢を持つことが必要です。保証人がいることで得られる安心感や支援に対して、適切な評価と感謝の意を表明することで、信頼関係を深めることができます。
連帯保証人をお願いすることは、単に金銭的なサポートを求める行為ではなく、相手に対する深い信頼と責任感を伴う重要な決断です。そのため、連帯保証人をお願いする場合には、この責任を真摯に受け止め、誠実な心構えで臨むべきです。
さいごに
連帯保証人をお願いすることは、相手に大きな責任を求める行為です。正直で開かれたコミュニケーションを心掛け、相手の理解と協力を得るために十分な情報提供と説明が必要です。そして、何よりも、約束を守り、信頼を裏切らないよう努力することが最も重要です。お願いする側としての誠実な態度と感謝の心を忘れずに、長期的な信頼関係を築いていきましょう。
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