事業計画

融資の基本:必要性の確認から選定、手続きの流れまで

事業計画

融資は、ビジネスの運転資金や設備投資、個人の生活費や住宅購入など、さまざまな目的で行われます。通常、融資を受ける際には、一定の利息を確保することが求められます。融資は借金であり、融資を申し込むのは気が引けると感じる人もいるかもしません。しかしながら、事業を行うには、資金を確保しておく必要があります。

また、融資を受けたいと思っても、全貌が見えないと手を出しにくいでしょう。そこで今回は融資の流れをあらためて確認をしていきます。

融資の流れ

融資の流れは、企業や個人が資金を調達する際のプロセスを示しています。以下は、一般的な融資の基本的な流れを示していますが、国や機関、融資の種類によって詳細は異なる場合があります。

融資の必要性の確認

まず、融資が必要な理由や目的、必要な金額を明確にします。融資の必要性を確認することは、資金を外部から調達する際の最初のステップです。

無闇に融資を受けることは、将来的に財務上の負担やリスクを招く可能性がありますので、きちんとした確認が求められます。

以下は、融資の必要性を確認する際のステップや検討事項です。

  • 目的の明確化
  • 自己資金の確認
  • 金額の詳細な計算
  • 返済能力の検討
  • 他の資金調達方法の検討
  • コストの考慮
  • リスクの評価

これらのステップや検討事項を通じて、融資の必要性や適切な金額、そして融資を受けることの利点やリスクを理解することができます。

融資先の検討

融資先の選定は、企業や個人の金融ニーズに適した金融機関やプログラムを選ぶプロセスです。適切な融資先を選ぶことは、財務状態の健全性や経営の安定性に直結します。以下は、融資先の選定を詳しく検討する際のポイントとステップです。

・目的の明確化

融資の目的(運転資金、設備投資、新事業開始など)によって、最適な金融機関が異なる場合があります。

・金融機関の種類

  • 商業銀行: 一般的な融資のニーズに対応。
  • 地方銀行や信用金庫: 地域密着型で、地域のビジネスや住民のニーズに特化。
  • 政府系金融機関: 特定の目的や政策に基づく低利の融資や支援を行う場合がある。
  • ベンチャーキャピタル: スタートアップや高成長期を迎える企業への投資を行う。
  • クラウドファンディング: 一般の人々から少額ずつ資金を集める方式。

・提供される条件の比較

  • 金利: 実質的な費用を示す最も基本的な要素。
  • 返済期間: 融資の返済期間や繰り上げ返済の条件。
  • 手数料: 融資に関連する手数料やその他の費用。
  • 担保・保証人: 融資を受けるための要件や条件。

・審査の厳格さとスピード

一部の金融機関は迅速な審査と手続きを強みとしていますが、審査が厳格である可能性も。

・サービスとサポート

金融アドバイザーやビジネスコンサルタントのサポートが得られるか。

オンラインバンキングやアプリの利便性。

・過去の取引履歴

既に同じ金融機関との取引履歴がある場合、その関係性を考慮する。

・口コミや評判

他の企業や個人からのフィードバックや評価。

・リスクの分散

全ての融資を一つの金融機関から受けるのではなく、複数の金融機関からの融資を検討してリスクを分散。

・将来的な関係性の考慮

長期的な視点でのビジネスパートナーシップや関係性を築ける金融機関の選定。

これらのポイントやステップを通じて、企業や個人のニーズに最も適した融資先を選定することができます。

情報の収集と準備

融資を受けるためには、ビジネスプランや収益予測、過去の指標データなどの情報が求められます。

申し込み

融資の申し込みを行い、必要な書類を提出します。

審査

金融機関は、返済能力や信用情報、ビジネスの将来性などを審査します。

審査結果の通知

審査が終了したら、その結果が通知されます。承認されれば、融資の詳細条件(利率、返済期間など)を確認します。

契約書

融資の条件に同意した場合、契約を結びます。

資金の受領

契約が完了すれば、指定された方法で資金が提供されます。

返済

契約に従い、定期的に返済を行います。返済は元本と利息を含むことが多いです。

完了

全てが終了すれば、融資は完了となります。

この流れは、一般的なものであり、具体的な手続きや必要書類、審査基準などは金融機関や融資の種類によって異なるため、ガイドラインに従うことが重要です。

融資の種類

融資にはいくつかの形態があります

  1. 無担保融資 – 借り手が特定の資産を担保として提供する必要がない融資。通常、審査の可否は信用スコアや収入などの基準に基づいて判断されます。
  2. 担保付き融資 – 資産(例:不動産、証券、機器)を担保として提供することで資金を借りる形態。もし借り手が返済できない場合、貸し手は担保として提供された資産を差し押さえることができます。
  3. 事業者向け融資 – 企業や個人事業主が事業資金として借り入れる融資。
  4. 住宅ローン – 住宅の購入や建設、改築のための融資。不動産がそのまま担保となります。
  5. カードローンやキャッシング – 主に消費者向けの無担保の小額融資。

融資を受ける際には、返済の条件、利息率、融資の期間など、契約内容を十分に理解してから契約を結ぶことが重要です。

融資先の選定方法

融資を受ける際に最適な融資先を選定することは、利便性、コスト、サービスの質に大きな影響を与えます。選定方法にはいくつかの重要なポイントがあります。

  1. 金利と手数料を比較する: 融資のコストを理解するには、金利だけでなく、手数料やその他の費用も考慮に入れる必要があります。低い金利を提供する融資先を選ぶことは重要ですが、隠れた費用がないかも検討しましょう。
  2. 融資条件を検討する: 融資の条件、例えば返済期間、返済方法、担保要件などを詳細に確認します。自分のビジネス計画や返済能力に最も合致する条件を提供する融資先を選びましょう。
  3. サービスの質を評価する: 融資先のカスタマーサポートの質や、融資申請の手続きの簡便さも重要な選定基準です。口コミやレビュー、事前相談を通じて、サービスの質を評価しましょう。
  4. 追加サービスを考慮する: 一部の金融機関では、融資以外にもビジネスの成長を支援するための追加サービスを提供しています。これらのサービスが自分のニーズに合っているかも検討材料の一つです。
  5. 政府支援プログラムの利用: 政府や公的機関が提供する融資プログラムは、特に中小企業やスタートアップにとって有利な条件を提供することが多いです。利用可能な政府支援プログラムがないかも調べましょう。

最適な融資先を選ぶには、自身のニーズと融資先が提供する条件を慎重に比較検討することが重要です。また、融資先選びは、単に最も低い金利を提供する場所を探すだけではなく、サービスの質、利便性、追加サービスの有無など、総合的な観点から判断することが求められます。

融資申請の手続き

融資申請の手続きは、選んだ融資先によって細部が異なりますが、基本的な流れと必要書類には共通点があります。ここでは、一般的な融資申請のプロセスと、準備すべき基本的な書類について説明します。

  1. 融資プログラムの選定: 自身のニーズに合った融資プログラムを選びます。これには、金融機関のウェブサイトでの情報収集や、直接相談を行うことが含まれます。
  2. 事前相談: 多くの金融機関では、申請前に事前相談を推奨しています。これは、適切な融資プログラムの選定や、必要書類についてのアドバイスを受ける良い機会です。
  3. 必要書類の準備: 融資申請に必要な書類を準備します。詳細は以下に記述。
  4. 申請書の提出: すべての必要書類を添えて、申請書を金融機関に提出します。オンラインまたは対面での提出が可能です。
  5. 審査: 金融機関による審査が行われます。審査期間は機関や融資の種類によって異なります。
  6. 結果の通知: 審査結果が通知され、融資が承認された場合は、融資契約を結びます。

申請に必要な書類には、以下のようなものがあります。

  •  個人識別情報: 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
  •  収入証明書: 給与明細、所得証明書、確定申告書など
  •  事業計画書: 事業用途の融資の場合に必要。事業の概要、財務計画、収益予測を含む
  •  財務諸表: 事業者の場合、過去の財務諸表(損益計算書、バランスシートなど)
  •  その他: 融資先によっては、返済能力を示すための追加書類や、特定の融資プログラム向けの書類が必要になることもあります。

融資申請の際には、事前に必要書類を確認し、準備を整えることが重要です。不備なく申請を進めることで、スムーズにな融資プロセスが進むでしょう。

審査の承認プロセス

融資の審査プロセスと承認基準は、金融機関によって異なるものの、基本的な枠組みは共通しています。審査は申請者の返済能力を中心に、信用情報、資金の使用目的、財務状況など、複数の要素を評価するというプロセスです。

  1. 申請書類の提出: 申請者は必要書類を揃え、融資申請を行います。
  2. 初期審査: 提出された書類の内容を基に、申請者の基本情報と融資の要件を照らし合わせる初期チェックが行われます。
  3. 詳細審査: 申請者の信用情報のチェック、収入や資産状況の分析、返済計画の評価などが行われます。場合によっては追加情報の提出を求められることもあります。
  4. 面接・訪問: 事業融資の場合、金融機関の担当者が事業所を訪問することがあります。個人の場合も、面談を通じて返済能力や融資の目的を確認することがあります。
  5. 審査結果の通知: 審査が完了すると、申請者に審査結果が通知されます。承認の場合は融資条件などの詳細が示され、契約へと進みます。

各金融機関での審査における承認基準は以下のようなものがあります。

  • 信用情報: 過去の借入れ履歴、返済記録、債務整理の有無などがチェックされます。良好な信用情報は、審査通過の重要なポイントです。
  • 返済能力: 安定した収入や適切な財務状況が求められます。収入証明や財務諸表などにより、返済に必要なキャッシュフローがあるか評価されます。
  • 資金の使用目的: 融資の目的が明確で、計画が現実的であることが重視されます。事業融資の場合、事業計画書の詳細な検討が行われます。
  • 財務健全性: 個人の場合は借入れ総額と収入とのバランス、企業の場合は財務比率などが評価されます。

融資の審査プロセスと承認基準を理解することで、申請者はより準備を整え、審査通過の可能性を高めることができます。

融資を受けた後の管理

融資承認後の資金管理と返済計画は、財務健全性を維持し、将来的な信用力を保つ上で非常に重要です。ここでは、融資承認後の適切な管理と返済計画についての基本的なアプローチを紹介します。

  1. 資金の使用目的を明確にする: 融資を受けた資金は、申請時に計画した目的で使用することが重要です。無計画な支出は避け、計画に基づいて資金を厳密に管理します。
  2. 会計記録の徹底: 融資資金の流れを正確に追跡できるよう、会計記録をしっかりと行いましょう。これにより、資金の使途を明確にし、返済能力の評価にも役立ちます。
  3. 資金繰り表の作成: 収入と支出を見える化するために資金繰り表を作成し、常にキャッシュフローの状況を把握しておきます。

合わせて綿密な返済計画を立てることが重要です。以下のポイントに気を付けながら、返済計画を設定しましょう。

  1. 返済スケジュールの確認: 融資契約時に確認した返済スケジュールを再度確認し、返済期日を厳守するようにします。
  2. 余裕を持った返済計画: 可能であれば、最低返済額以上に返済することで、利息負担を減らし、返済期間を短縮することができます。また、予期せぬ出費に備えて、余裕を持った返済計画を立てましょう。
  3. 繰り上げ返済の検討: 経済状況が改善した場合は、繰り上げ返済の可能性を検討します。これにより、将来の利息負担を減らすことが可能ですが、繰り上げ返済に関する手数料や条件を事前に確認することが重要です。

もし経済状況の変化により返済が困難になった場合は、早めに金融機関に相談します。リスケジュールや条件の見直しを含め、解決策を模索することが可能です。

融資承認受け取り後の適切な資金管理と返済計画は、返済負担を軽減し、将来的な融資の機会を確保する上での鍵となります。

まとめ

事業を行うには融資による資金調達が不可欠です。また、融資には一般的な流れがあるため、流れを把握すればスムーズに融資手続きが進むでしょう。

この記事を通じて、融資の基本的な概要と、融資を受ける際の手続きや融資先の選定に関する重要なポイントを理解してください。

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