融資を受けることは、多くの企業にとって事業の成長や持続性を高めるために不可欠な要素です。しかし、時には銀行や金融機関からの融資が受けられないという壁に直面することがあります。
では、融資が受けられない時にどのような解決策があるのでしょうか?本記事では、融資否決の対処法と資金調達の新たな道について探っていきましょう。
融資が断られる理由
融資の否決は、いくつかの要因によって引き起こされることがあります。
以下に、一般的なケースをいくつか挙げてみます。
- 信用履歴の問題: 融資を受ける際には、過去の借入や返済履歴がチェックされます。もし信用履歴に問題がある場合(例:遅延や未払いの履歴)、融資を受けることが難しくなる可能性があります。
- 収入の不安定性: 融資を受ける際には、返済能力が評価されます。収入が不安定な場合や十分な収入がない場合、融資を受けることが難しくなることがあります。
- 借り入れの過多: もし多くの借入や負債を抱えている場合、新たな融資を受けることが難しくなることがあります。負債の比率が高すぎると、返済能力に不安があると判断されるのです。
- 担保や保証人の不足: 融資を受ける場合、担保や保証人を提供することが求められることがあります。もし適切な担保や保証人を用意できない場合、融資を受けることが難しくなる可能性があります。
- 業種や業績のリスク: 融資を受ける際には、業種や事業の業績も評価されます。リスクの高い業種であると判断されたり、事事業の業績が十分に安定していない場合、融資を受けることが難しくなります。
融資を断られたら
最初の融資希望先に融資を断られた後の対応について、次のポイントを考慮してみてください。
普段の取引がない金融機関に相談をする
融資を相談する際には、普段取引のない金融機関にも積極的に相談することをおすすめします。
その際には、経営革新計画の承認を既に受けていることや、新事業活動促進法の低利融資制度を利用したい旨を伝え、企業の信頼性をアピールしましょう。
また、開発資金を1つの金融機関から借り入れるだけでなく、政府系金融機関と民間金融機関の協調融資を検討することも有益です。この場合、政府系金融機関と民間金融機関で借入金のシェア(政府系金融機関からの割合と民間金融機関からの割合)を決める必要があります。金利負担を考慮して、政府系金融機関のシェアを増やす方が望ましい戦略です。理想的には、民間金融機関からの前向きな融資意向を引き出し、それを政府系金融機関に伝えることで、話し合いが進展する可能性が高まります。
信用情報の改善
定期的に信用報告書を確認し、誤りがあれば速やかに修正を依頼しましょう。既存の債務に対する返済を定期的に行い、遅延やデフォルトを避けることも重要です。クレジットカードの残高を低く保ち、支払いを期日までに完了することも含まれます。
新たなクレジットラインの開設は控えめにし、既存のクレジットを賢く利用することで、信用スコアを徐々に改善できます。信用情報の改善は時間がかかるプロセスであり、短期間で大きな変化を期待するのではなく、長期的な視点で取り組むことが重要です。
財務状況の強化
融資を受けやすくするには、財務状況の強化も重要です。そのためには収益性を高める戦略を実施しましょう。売上の増加、コスト削減、効率的な資源管理などが当てはまります。
合わせて負債管理に注力し、特に高利息の借入れを減らすことで、財務負担を軽減します。
キャッシュフローの最適化を図り、短期および長期の資金需要に対応できるようにするのも重要です。
事業計画の再検討
事業計画の再検討は、融資を受けるために重要なステップです。まず、事業計画の現実性と実行可能性を評価し、市場分析、競合分析、財務予測を最新の情報に基づいて更新します。特に、収益源、成長戦略、リスク管理計画に注目し、これらが現実的かつ具体的であることを確認することが重要です。
事業計画には、明確な目標と達成のための具体的なステップが含まれている必要があります。必要に応じて、専門家やビジネスアドバイザーの意見を求め、計画の強化を図りましょう。
担保の再評価
担保の再評価は、特に融資申請が拒否された際に重要となる対策です。まず提供可能な担保の全リストを作成し、それぞれの資産の現在の市場価値を正確に評価します。不動産や機械設備、在庫、さらには知的財産権など、異なる種類の資産が担保として適切かどうかを検討しましょう。資産の流動性や売却時の容易さも考慮することが重要です。
また、追加担保を提供することで融資の承認確率を高めることができる場合があります。
借入金の返済の確実性を伝える
金融機関が最も関心を持つのは、融資した資金が確実に回収できるかどうかです。そのため、承認を受けた経営革新計画に基づいて、より具体的で詳細な経営計画を別途作成してください。特に重要なのは、開発した製品の具体的な販売先とそこから得られる現金の額です。各販売先ごとの売上計画と得られた現金を元に、借入金の返済にいくら回せるかを示す資金繰り表を作成し、借入金の返済が確実であることをアピールしてください。また、担保の有無も明確に把握し、アピールすると有効です。
金融機関と新たに取引をする場合は、相手の信頼を得ることが最も重要です。相手はまだ貴社のことを知らないため、信頼できる企業であるかどうかを見極めます。相手の質問に真摯に応え、必要な文書が求められた場合は迅速に提出し、信頼関係を構築してください。これにより、それまで取引のなかった金融機関から融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
日本政策金融公庫・自治体の融資も検討可能
銀行から融資を受けられない会社には、日本政策金融公庫を利用する方法もあります。日本政策金融公庫は国が100%出資する政府系金融機関であり、国民の生活向上を目的として運営されています。そのため、銀行に比べて融資を受けやすいと言われています。融資の限度額は約8,000万円程度であり、制度や担保の有無で異なりますが金利は0.15%から3.20%程度です。
また、地方自治体の制度融資も検討すると良いでしょう。地方自治体によって制度融資の内容は異なるため、商工関係部署に問い合わせてみることをおすすめします。
代替資金調達方法
資金を調達するには、以下のような代替方法もあります。必要に応じて検討しましょう。
エンジェル投資家やベンチャーキャピタル
特にスタートアップや成長段階の企業にとって重要な資金調達源です。エンジェル投資家は通常、個人投資家であり、初期段階の企業に対して資金を提供し、しばしば事業経験や専門知識も提供します。
ベンチャーキャピタルは、より成長した企業に投資することが多く、大規模な資金提供を行う投資ファンドです。
これらの投資家から資金を調達する際には、強固な事業計画と市場での成長潜在力を示すことが重要です。
エンジェル投資家やベンチャーキャピタルは、単に資金提供者であるだけでなく、ビジネスのメンターやネットワークの拡大にも貢献するため、適切なパートナーを選ぶことが成功の鍵となります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを利用して多数の人々から資金を集める方法です。企業や個人は、製品開発、プロジェクト実施、事業拡大などのための資金を小口で募ることができます。
リワード型、寄付型、株式型、貸付型など、様々な形態があり、中でもリワード型では、支援者に対して製品やサービスを提供することで資金を集めます。
クラウドファンディングは、新しいアイデアやプロジェクトに対する市場の反応をテストする手段としても有効であり、資金調達と同時に顧客基盤の構築やブランド認知度の向上にも寄与します。ただし、成功するためには魅力的なプロジェクトの提示と効果的なプロモーションが必要です。
融資が受けられない状況を克服するためには、単に短期的な問題解決に留まらず、長期的なビジネス戦略を構築することが重要です。事業の持続可能性を高め、将来的な資金調達の成功率を向上させることを念頭に、あらためて自信の状況を見直してみましょう。
まず、事業の核となる強みを明確にし、市場での競争優位を確立することが重要です。これには、独自の製品やサービスの開発、ブランド価値の強化、顧客基盤の拡大などが含まれます。また、事業の収益性を向上させるために、効率的な運営方法やコスト削減の機会を常に模索することが求められます。
次に、財務管理の強化に注力することも重要です。これには、収益と支出の詳細な追跡、キャッシュフローの最適化、負債の効果的な管理が含まれます。財務の透明性を高めることで、将来的な融資申請時に信頼性を示すことができます。
さらに、ネットワーキングと関係構築にも力を入れることが有効です。業界内の関係者や潜在的な投資家との関係を築くことで、新たな資金調達の機会やビジネスチャンスを探ることができます。
最後に、市場の動向や技術の進展に常に注意を払い、事業を柔軟に適応させる能力を持つことが重要です。これにより、変化する市場環境に対応し、事業の持続的な成長を実現することができます。
さいごに
融資が受けられない場合でも、ビジネスの成長や資金調達の道は存在します。柔軟な発想と創造力を持って、新たな解決策を見つけることが重要です。他の資金調達方法や地方自治体の制度融資など、様々な選択肢があります。融資困難時には、立ち止まることなく前進し、成功への道を模索しましょう。
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