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銀行融資を成功させるための事業計画書の重要性とポイント

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事業計画書は、将来の数年間にわたる経営方針や利益の上げ方について計画をまとめた書類です。銀行で融資審査を受ける際には、銀行が様々な書類の提出を要求することがあります。通常、最初に求められるのは決算書です。銀行はこの決算書の分析結果を評価し、「格付け」として融資の可否を判断します。

ただし、銀行は融資の判断を決算書の内容だけで行うわけではありません。試算表や月次資金繰り表、そして事業計画書などの提出も求められることがあります。特に、決算書の内容があまり良くない場合でも、事業計画書が説得力のある内容であれば、融資審査で有利になることがあります。

この記事では、銀行から融資を受けるための事業計画書の書き方に関する基礎知識や考え方について紹介します。事業計画書を作成する際には、以下のポイントに注意すると良いでしょう。

事業計画書とは?

事業計画書は通常、社長や従業員が意見を共有するために作成されますが、銀行からの融資審査では提出が求められることがあります特に中小企業では、決算書が銀行の評価基準を満たさない場合、融資を受けるのが難しくなることもあります。事業計画書の提出は決算書の印象を補完し、具体的な成長見通しや収益性の改善策、資金の使途計画を示すことで、銀行の信頼を得る機会となります。

決算書が不利な結果であっても、事業計画書を通じて将来の成長や収益改善を示せば、銀行は企業の潜在能力を評価し、融資の検討を進める可能性があるのです。以下では、銀行が事業計画書で重視する要素について紹介します。

ポイント1・企業理念は記載されているか?

会社の経営理念は、事業の最終目的を表すものです。一部の人々は、経営理念が抽象的であり、「融資審査では重要視されない」と考えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。

実際、銀行の融資担当者の中には、「融資審査の際には、最初に経営理念を確認する」という考え方を持つ人もいます。経営理念は、企業の憲法のようなものです。すべての事業計画は、この経営理念を目指し、方向性を示す基盤となっています。したがって、経営理念を十分に検討し、事業計画書に明確に記載することが重要です。

ポイント2・事業計画書の精度は問題ないか?

重要な点として、まず事業計画書は正確な数値、説得力のある目標や戦略を明確に記載する必要があります。もし数字の整合性が取れていなかったり、内容に矛盾があったり、実現不可能なプランだったり、誤字脱字があったりすると、内容の信頼性が大きく低下してしまいます。

銀行の融資担当者は、多くの企業の事業計画書を目にしていますので、些細なミスもすぐに気づくものです。事業計画書の信頼性を損なわないようにするためには、内容の正確さに細心の注意を払うことが重要です。

ポイント3・実行可能なプランか?

融資担当者は、貸し出される資金がどのように使用され、どのような計画に基づいて返済されるのかを把握したいと考えています。そのため、事業計画書には、記載された目標が実現可能かどうかを判断するために、これまでの事業の内容や規模との整合性に注目します。具体的な数値を使用して、事業計画が説得力を持つようになっていることが重要です。

売上や利益の目標を単に数字で示すだけでは不十分であり、目標を達成するために直面する課題やそれを解決する具体的な手段についても明示する必要があります。融資を受けたいという意欲から、会社を良く見せようとして現実に即した目標とは異なる高い目標を掲げることは逆効果です。たとえば、直近の売上が減少傾向にあるのにもかかわらず、「来年は売上を15%増加させます」という計画を提案しても、実現可能性に疑問が生じます。そのため、本当に実現可能性があると信じるならば、融資担当者に対してその根拠を明確に説明する必要があります。

このような具体的な計画の策定は、融資担当者の判断に役立つだけでなく、自社が目標を達成するための経営指針としても重要です。

経営理念とビジョンの伝え方

・経営理念:事業の目的や実現したいことを明確に表現しましょう。切々とした表現よりも、具体的な社会的課題やニーズに焦点を当てます。

・ビジョンの要素:具体的な成果や実現したい将来像を示し、技術やニーズの変化に対応する視点を持つことが重要です。

・言葉の選び方:情報を伝えるために必要な知識に留めましょう。切々とした思いよりも、読者の理解を助ける明確な表現を心掛けます。

・社会的な貢献:事業が社会的課題の解決やニーズの充足に寄与することを示しましょう。具体的な機能や役割を通じて社会に価値を提供することを強調します。

以上のポイントを意識して、経営理念とビジョンを事業計画書に記述することが重要です。明確さと具体性に重点を置き、読者の理解と共感を得るような表現を心がけましょう。

会社の概要・経営者の経歴の記載

会社の概要を記載します。会社名、所在地、代表取締役、設立年、資本金、株主構成、主な事業内容、従業員数などの詳細を一覧にします。新しく創業した会社では、創業者の経験や能力、人柄が業績に大きく影響することがよくあります。したがって、事業目的に適した経歴を選び、獲得したスキルや知識を強調してまとめましょう。

ただし、抽象的な表現では、具体性や実現可能性が分かりづらくなる可能性がありますので注意が必要です。具体的で実現可能な事業計画書を作成しなければ、融資担当者に「借りたお金を返済する能力がある」というアピールをすることはできません。具体性と実現可能性に注意を払いましょう。

自社サービスの強み

事業を成功させるためには、自社のサービスや商品が顧客に価値を提供し、需要があることが重要です。競合他社との比較においても、自社の強みや特長をアピールしましょう。

また、顧客層を具体的に設定し、年齢層や地域、家族構成などを明示することで、説得力を持ったターゲット設定が可能です。

ただし、顧客層が過度に限定的であると、売上が制限される印象を与えるため注意が必要です。

販売戦略の明確化

販売戦略は、自社の商品を売るための手段と関連するコストを計画するものです。たとえば小売業においては、商品の仕入れコストや在庫管理にかかる費用、店舗運営に関わる人件費や賃貸料などが販売戦略に関わるコストとなります。

また、マーケティング活動や広告宣伝費用も重要な要素です。広告やプロモーション活動には費用がかかりますが、それによって顧客の認知度を高め、売上を増やすことが期待できるでしょう。

これらのコストを的確に分析し、売上予測とのバランスを考慮した資料を作成することが、説得力のある販売戦略の計画に必要です。

人員体制について

組織や体制についての説明は、社内の構造や意思決定のプロセスを明確にするために行います。人員が制約されている中小企業でも、役割分担は重要です。業務範囲を明確にし、各人の役割を明確化することで、業務効率を向上させることが期待できます。

また、人員確保に真剣に取り組み、実現可能性の高い人員計画にも言及することが重要です。これは雇用の創出という社会的な要請にも応えることにつながります。

年次損益計画、月次損益計画と返済計画

事業計画の中核は、年次損益計画と月次損益計画です。これらは、貸借対照表計画、損益計算書計画、キャッシュフロー計画を指し、単に将来の資金計画をシミュレーションするだけでは不十分です。具体的な施策を考えて数値計画を実現し、戦略がどの指標にどのような影響を与えるかを反映する必要があります。

したがって、数値計画は貸借対照表計画、損益計算書計画、キャッシュフロー計画にとどまらず、財務目標数値(財務計画のゴール)、得意先別の売上予測、長期資金計画表などまでを考慮して作成する必要があります。

また、返済計画についても重要なポイントです。年次損益計画と月次損益計画を基に、具体的に月々どれだけ返済できるかと、返済のための資金調達方法を記載しておきます。

さらに、将来の事業拡大に伴い追加の資金が必要かどうか、または既存の融資を借り換えることで資金を調達する予定があるかなど、計画に含めることも良いでしょう。

さいごに

事業計画書の作成は、銀行からの融資を受けるために重要な一歩です。返済計画や具体的な数値計画を盛り込むことで、銀行の信頼を得る機会を掴むことができます。将来の成長見通しや収益改善策を示し、魅力的な事業計画書を提出しましょう。自社のポテンシャルを銀行に認めてもらい、成功に向けた資金援助を得るチャンスをつかみましょう。

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